憲法を二重三重に蹂躙する悪法の廃止までたたかう
「賃下げ特例法」の成立強行にあたって(声明)
2012年2月29日 日本国家公務員労働組合連合会 中央闘争委員会
本日、国会は「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(以下、「賃下げ特例法」)を、衆・参あわせてわずか5時間足らずの審議で成立を強行した。すべての労働者に保障された労働基本権を剥奪し、その「代償措置」とされてきた人事院勧告を大幅に超える賃下げを、政府が使用者責任を放棄して議員立法で行うという、憲法を二重三重に蹂躙するものである。
東日本大震災から1年を迎えようとしている現在もなお、昼夜を分かたず復旧・復興業務に従事している職員をはじめ、全国で公務・公共サービスを支えている公務員労働者を足蹴にするもので、政府・野田内閣と民主・自民・公明三党の前代未聞の暴挙に満身の怒りを込めて抗議し、断固糾弾する。
政府は、憲法違反との批判をかわすために、現行制度を無視して提出した法案を廃案にし、民自公三党による密室談合で「修正合意」された議員立法の「賃下げ特例法」成立を優先させた。国家公務員も憲法上の勤労者であり、その労働条件が「勤務条件法定主義」「財政民主主義」のもとにあっても、憲法の要請、趣旨をふまえたものでなければならない。
国会審議では、今後もこうした削減があり得るとの議論が行われるなど、公務員労働者の基本的人権を全く無視した姿勢は言語同断である。加えて、人事院勧告にもとづく削減分を年度を超えて「調整」することや、自衛隊員のみ東日本大震災での貢献を口実に実施時期を遅らせること、「身を切る」としながら政党助成金や議員歳費には手をつけようとしないことなど、到底容認できない。
昨年の通常国会から継続審議となっている「国家公務員制度改革関連4法案」は、「三党合意」で「審議入りと合意形成に向けての環境整備を図る」とされている。「賃下げ特例法」を強行する一方、公務員労働者の「手足を縛ったまま」放置することは許されない。法案は、公務員労働者の権利回復に向けた一定の到達点ではあるが、看過できない重大な問題点が含まれていることから、国公労連の「抜本修正要求」をふまえ、徹底した審議で憲法と国際労働基準に沿った労働基本権の実現を求める。
国公労連は、2012年春闘最中に強行される賃下げが、625万人労働者をはじめ地域経済にも多大な影響を及ぼすことや、「社会保障・税一体改革」と称する消費税増税など国民犠牲の突破口であることなど、引き続き国民的な理解と共同を広げる運動を強化しながら、「賃下げ特例法」の廃止に向け法廷闘争を含むたたかいを展開する。同時に、財界・大企業の賃金・雇用破壊など横暴を許さず、誰もが安心して働き、将来に希望を紡げる社会を実現するため、広範な労働者・国民のみなさんとともに「全体の奉仕者」としてのプライドをかけて奮闘するものである。
以上