秋入学移行 慎重な姿勢 県内大学「課題多い」『東京新聞』栃木版2012年1月28日付

『東京新聞』栃木版2012年1月28日付

秋入学移行 慎重な姿勢 県内大学「課題多い」

 東大の懇談会の提言で注目を集める大学の「秋入学」。入学時期を海外で主流の秋に移行することで、留学生の獲得など国際的な競争力を高めるのが狙いだ。一部の有力大に追随する動きがあるが、県内の大学は「課題が多い」として、慎重な姿勢を見せている。 (内田淳二) 

 約三百人の留学生が学ぶ宇都宮大(宇都宮市峰町)は「高校卒業から入学までの期間を過ごすための学生の受け皿がない」「学生の就職に不利」との理由で、今のところ導入を検討していない。 

 提言では、入学までの半年間はボランティアや就業体験で、さまざまな社会経験を積んでもらうことが想定されている。しかし、入学までの半年間を有効活用するには環境整備が必要な上、卒業も秋になるため、春の新卒者採用が定着している日本では、就職に支障をきたす恐れがある。 

 宇大は全面移行ではなく、春入学と秋入学を併存させる場合の問題点も指摘する。「学ぶ順序を考慮すると、春と秋の入学者のために同じ講義を年二回実施することになる。教員の定員削減を進めている中では極めて困難」としている。

 白鴎大(小山市大行寺)は「海外の大学と交流する面ではメリットが大きい」と評価するが、「就職など課題が多く、単純に決めるわけにはいかない」と静観の立場だ。 

 作新学院大(宇都宮市竹下町)や国際医療福祉大(大田原市北金丸)も、同様の理由で導入を検討していない。 

 ある大学の担当者は「就職の慣例など社会の大幅な転換が必要で、現実的には地方の大学が率先して取り組む課題ではない。有力大学や企業などの動向次第で、状況の変化に合わせていくことになるのではないか」と話している。

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