横国大、MM21地区に拠点 高速通信使う医療技術研究『日本経済新聞』2012年1月18日付

『日本経済新聞』2012年1月18日付

横国大、MM21地区に拠点 高速通信使う医療技術研究

 横浜国立大学とフィンランドのオウル大学は3月、横浜市のみなとみらい(MM)21地区に医療関連の情報通信技術(ICT)に関する研究開発拠点を開設する。両大は2010年度から神奈川県横須賀市で共同研究を始めている。国の国際戦略総合特区の指定を受けたMM21地区にも拠点を置くことで、研究開発のスピードを上げると同時に産業界との連携も深め、実用化に取り組む。

 2月完成の横浜三井ビルディングに設ける。横国大は本部キャンパスにある「未来情報通信医療社会基盤センター(MICT)」の出張拠点。オウル大は100%出資する新会社、「ワイヤレス研究所日本支所」としてそれぞれ部屋を確保し、連携して研究を進める。

 両大が開発に取り組むのは「UWB(超広帯域)無線」と呼ばれる高速通信技術を使った医療用の通信システム。同技術は人体や他の電子機器への干渉がほとんど無いという。

 すでに情報通信の研究集積拠点である「横須賀リサーチパーク」(YRP、横須賀市)で、同技術を使った診断・治療システムの共同研究を始めている。

 具体的には、小型カプセルに超小型カメラを入れ、血管や内臓など体内の状況をリアルタイムで把握できるシステムを開発する。衛星通信を使って高画質の医療用動画像を送受信し、遠隔地からの医療や診断を可能にする研究にも取り組む。

 新拠点を設けるMM21地区は昨年末に国から「京浜臨海部ライフイノベーション総合特区」に指定された。今後は臨床研究に関する手続きの簡素化や、外国人研究者の在留資格の緩和といった規制緩和が見込まれている。

 YRPに比べて交通面などの利便性も高い。横国大で研究を主導する河野隆二教授は「オウル大との共同研究に取り組みやすくなるうえ、実用化に向けて連携する民間企業の集積も進む」と期待している。

 横国大は通信工学で強みを持ち、医学部を持つ横浜市立大学と連携して通信工学と医学を融合させた研究に取り組む。オウル大はフィンランドで第2の規模を持つ総合大学。携帯電話端末世界大手のノキアと連携するなど情報通信分野の研究が活発だという。

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