「東北広域連合」創設提言へ 東北大公共政策大学院生7人『河北新報』2012年1月19日付

『河北新報』2012年1月19日付

「東北広域連合」創設提言へ 東北大公共政策大学院生7人

 東北大公共政策大学院の学生7人が24日、北海道東北地方知事会の「広域連携等に関する検討会議」に対し、東北6県と仙台市による「東北広域連合」創設を提言する。広域行政で取り組むべき防災、医療、産業分野の7政策を具体的に提案し、広域連合の組織や構成も示した。震災で中断した検討会議が2月6日に再開されるため、7人は「議論に一石を投じられれば」と期待している。

 24日に宮城県庁を訪れ、検討会議の事務局を務める県震災復興・企画部の幹部職員に説明する。

 提言によると、広域連合の参加自治体は歴史的、経済的な結び付きから東北6県と政令市の仙台市を想定。知事会に参加している新潟県と、政令市の新潟市も意向次第で参加を検討するとした。

 先行する関西広域連合に倣い、国出先機関のうち地方整備局、経済産業局、地方環境事務所の移管を求める。広域連合長と広域連合議員は、一定の権限移譲が進んだ段階で、住民が直接選挙で選ぶ制度に移行させる。

 7政策は住民が広域連合のメリットを理解しやすいように、東北全域への波及効果が期待できる事業を選んだ。広域防災拠点の整備は、災害時に支援物資の調達や分配の窓口となる場所を設置する。広域防災訓練は、関西広域連合が被災地から高い評価を得た「カウンターパート方式」による組織的な支援体制の構築を目指す。

 2012年度までに、宮城を除く5県が配備を完了する「ドクターヘリコプター」の共同運航に取り組むほか、6県の大学病院がそれぞれの得意分野を生かし、東北全域の遠隔医療を支えるネットワークを形成する。

 7人は昨年5月に提言づくりに着手。関西広域連合や東北の国出先機関、各自治体などを現地調査し、全国知事会長の山田啓二京都府知事、増田寛也前岩手県知事らのヒアリングも重ねた。学生代表の修士課程1年森本直樹さん(23)は「震災後、一つの県では解決できない課題が山積している。東北6県がバラバラのままで、この苦難を乗り越えられるか疑問を感じる」と話した。

◎議論のたたき台に

 学生を指導した菅原泰治・東北大公共政策大学院教授(地方行政)の話 国の財政状況が厳しい中、関西や九州は自治体が地域単位でまとまることで生き残ろうとしているが、東北は残念ながらその動きが鈍い。提言内容はまだ粗削りで、すぐに実現可能とは言えないが、議論のたたき台にはなる。大いに物議を醸し、前向きな議論が生まれればいい。まずは広域連合を創設するメリットについて、8道県の検討会議で抽象論を脱した議論を始めるべきだ。

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