就活 変わる 大学3年、2カ月遅れあす解禁『日本経済新聞』2011年11月30日付

『日本経済新聞』2011年11月30日付

就活 変わる 大学3年、2カ月遅れあす解禁

説明会集中、ネット採用進化

 2013年春入社を目指す大学3年生の就職活動(就活)が12月1日から本格化する。経団連が倫理憲章を見直したため、例年より2カ月遅れの“解禁”となり、大手企業の採用説明会が短期間に集中する。みずほフィナンシャルグループや日立製作所が交流サイトを活用するほか、ソニーは説明会をネットで中継して効率化をはかる。景気の低迷で企業の採用意欲は急回復が見込みにくい。企業、学生双方にとって手探りのスタートとなる。(経団連の倫理憲章は総合面「きょうのことば」参照)

 12月1日は企業の採用サイトやリクルートの「リクナビ」など就職情報サイトが一斉に開設されて学生の登録受け付けが始まる。都内では有名企業が集まる大規模な合同説明会も複数開かれる。サイトへの登録や説明会の開始は2カ月遅れるが、実際の選考は例年通り翌年4月からとなるため、説明会などの「広報期間」が短くなる。

ソニーは生中継

 企業は限られた期間で学生との接触機会を確保できるよう採用活動の見直しや効率化を急ぐ。第一生命保険は12月~来年1月の2カ月間に前の年の3倍近いペースで会社説明会を開く予定。NTT西日本は会社説明会の回数を前年の19回から13回に減らす一方で合計の定員数を3割増やす。

 ソニーは新卒採用サイトを使って説明会をインターネット経由でライブ中継する。12月中に事務系と技術系の就職希望者を対象にそれぞれ1日3回ずつ開催する予定。パナソニックも各種セミナーの「オンデマンド配信などを進める」方針だ。

 外国人の採用ではサントリーホールディングスが来年1月、東京で外国人向けの就職セミナーを初めて開く予定だ。

 交流サイト(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=SNS)を活用した採用活動も本格化した。みずほは今年10月にフェイスブックを設けてグループを紹介。採用に関する情報を掲載することで、学生を採用ホームページに誘導している。日立は学生から寄せられた質問に若手社員が答える仕組みを近く始める。期間が限られるなか、学生との接点を増やす狙い。今年は合計400社以上がフェイスブックを活用しているもようだ。

 ネットを通じた応募が一般化したことで、大手や有名企業では学生の応募数が年々増えている。人気企業のサイトで説明会の登録日にアクセスが殺到し、学生が登録すらできないといった状況が出ているうえ、企業が1人あたりの選考にかける時間も減りがちだ。

OBが情報提供

 なんとか応募と採用のミスマッチを解消しようとの取り組みも広がる。トヨタ自動車は12年春入社の採用から大学OBの社員が学生に接して情報を提供する活動を復活。13年春入社でも取り組みを継続する。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは来年から大学3年生の秋以前でもインターンシップ(就業体験)を受け入れる検討を始めた。早ければ1年生でも受け入れる。

 学生は現段階では業界や企業についての情報が乏しい。東日本大震災の影響などで、今夏はインターンシップを取りやめる企業も多かった。「企業のサイトを研究するなど、できることをやってきた」(早稲田大学3年の女子学生)というが、情報不足は否めない。

 14年春入社の採用活動を巡っては、経済界で意見が割れている。経団連は「学生に不安感が出る」(米倉弘昌会長)として当面、13年春入社の枠組みを継続する方針。

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