公務員給与削減を優先…労働基本権見送り検討『読売新聞』2011年11月27日付

『読売新聞』2011年11月27日付

公務員給与削減を優先…労働基本権見送り検討

 政府・民主党が26日、国家公務員に労働基本権を付与する国家公務員制度改革関連法案の今国会での処理を断念する検討に入ったのは、関連法案に盛り込まれた国家公務員の給与削減が野党の反発で実現しない事態を防ぐためだ。 

 削減が実現しない場合、東日本大震災の復興財源が不足し、世論の批判が民主党に向くことを恐れている。今後は、民主党の支持団体・連合の説得がカギとなりそうだ。 

 給与削減法案は、復興財源捻出のため、菅前政権が公務員系労組と交渉し、労働基本権の一部である労働協約締結権を認める代わりだとして連合傘下の労組を説得した経緯がある。年間約2900億円が捻出できる。公務員制度改革関連法案とともに6月に国会提出された。 

 野田政権は10月、基本権付与を前提に、その代償である人事院勧告(給与平均0・23%引き下げ)を実施しないことを決めた。 

 自公両党は、7・8%の給与削減には理解を示しているが、労働基本権付与は認めず、勧告を実施しないことに関しても「憲法違反」だと批判。勧告実施の上、給与を減らして最終的に7・8%削減を実現する対案の提出を準備している。 

 民主党の樽床伸二幹事長代行が26日、軌道修正に言及したのは、今国会の会期末が12月9日に迫り、法案成立が厳しいと見たためだ。仮に自公に譲歩しなければ、人事院勧告の削減分さえ実現できない。民主党内からは「公務員の給与削減がゼロに終わったら、民主党は世論に見放される」との声も出ている。

 

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