『日本経済新聞』2011年11月22日付
大学改革、産業界など交え協議体 文科省が来年/国際化や私大経営テーマに
中川正春文部科学相は22日の閣議後の記者会見で、「国民的議論を踏まえて新しい大学のあり方をくみ上げていける体制を作りたい」と述べ、現在の大学が抱える問題点や改革の方向性について議論する協議体を来年発足させる方針を明らかにした。産業界や研究者団体、小中高校関係者など幅広い層に参加を呼びかけ、大学教育の国際化や質の保証、効率的な運営体制などを探る。
大学改革はこれまで中央教育審議会で議論が進められてきた。中川文科相は「大学についてはここ数年で相当議論されてきたが、なかなか(具体的な改革として)動いてこない。もっと広範囲な形で議論を広げ、盛り上げていく体制を作りたい」と狙いを話した。
協議体は年内に構成メンバーなどを決定し、来年に議論を始める。検討結果を受け、文科相が中教審に具体的な制度改革案の作成を諮問することを検討する。
議論するテーマは国際化や教育の質保証のほか、社会が求める人材の育て方、研究体制、少子化が進む中での私立大の経営問題、国立大学法人運営費交付金の算定基準、法科大学院のあり方などを想定している。
既に中教審で議論されているテーマも多いが、中川文科相は「中教審の議論は進めてもらってよいが、もう少し総体的な議論の枠組みがほしい。様々な分野の方を巻き込んだ国民的な議論をしないと、政策や方向性をまとめても中身が動かない」と話した。
大学改革を巡っては、政府の行政刷新会議が21日に行った提言型政策仕分けでも達成目標などが不明確などとの指摘が出ていた。