被災地でボランティア、大学の85%実施 本社調査『日本経済新聞』2011年11月20日付

『日本経済新聞』2011年11月20日付

被災地でボランティア、大学の85%実施 本社調査

 大学が研究成果や人材を社会に役立てる「地域貢献度」について日本経済新聞社が実施した調査によると、東日本大震災で学生や教員がボランティアをした大学は85.9%に達した。一方で大学が災害時に地域住民をキャンパスに受け入れる際のマニュアル作成は13.5%にとどまるなど、地域の防災拠点としての備えは途上にある。

 調査は全国の731の国公私立大学を対象に、9月から10月中旬にかけて実施した。489大学から有効回答を得た。

 被災地のボランティア活動は大学も単位を与えるなど後押ししている。岩手県立大学(岩手県滝沢村)は全国規模のボランティアを組織し、同県の仮設住宅の住人と交流する活動などを実施。7~9月に29都道府県の146大学から延べ1300人の学生が参加した。

 被災地の復旧、復興などの提言や支援をする大学も多く、63.6%あった。神戸大学は阪神大震災の経験を踏まえ、文化と歴史の継承、防災教育、農林水産業の復興計画などを提言している。

 ただ、足元の地域の防災支援はこれからのようだ。大学のキャンパスは広域避難場所に指定されることが多いが、住民受け入れ時の運営マニュアル作成、飲食料備蓄のいずれも独自に実施している大学は7.4%、マニュアル作成だけは6.1%。防・減災の訓練、公開講座、提言の3つとも実施しているところは6.7%だった。

 調査は中央教育審議会が大学の社会貢献を教育、研究に続く「第三の使命」と答申したことなどを踏まえて実施。産学連携や施設開放などに関する回答も合わせて点数化した総合ランキングでは、北九州市立大学が1位、宇都宮大学、信州大学がともに2位だった。

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