東北芸工大:統合問題 財務状況、報告なし 山形市議会、市長了承に疑問の声 /山形『毎日新聞』山形版2011年9月28日付

『毎日新聞』山形版2011年9月28日付

東北芸工大:統合問題 財務状況、報告なし 山形市議会、市長了承に疑問の声 /山形

 東北芸術工科大の法人統合問題で、山形市議会は27日、全員協議会を開いた。市川昭男市長が京都造形芸術大の大学法人の財務状況の報告がないまま5月に法人統合を了承し、芸工大の学校法人が京都造形芸術大の学校法人に吸収合併されることが改めて明らかになった。市議からは「市民、県民の税金が約200億円つぎ込まれたのに議会や市民に説明がなく市長が了承したのは承服できない」など統合を疑問視する意見が相次いだ。市川市長は「市民が理解するまで何度でも協議をする。市議会の合意を受け法人や国などに意見する」と述べた。 

 市担当部は、山形市が芸工大の用地買収と建物建設、運営費補助など計95億5000万円を補助したと説明。市川市長は「全国4割の大学が定員割れで、少子化と被災学生支援を考えてという説明を受け了承した」と述べた。 

 これに対し、諏訪洋子市議(無所属)は「現在が18歳人口の底。大学側は少子化のシミュレーションを描いていないのでは。財務状況もよくないと聞き、芸工大側に統合のメリットはない」。また斎藤淳一市議(緑政・民主・公明ク)は「市長は被災学生100人の支援と少子化対応が理由で統合するという大学側の説明をうのみにしているが、根拠が感じられない」と批判した。 

 89年の芸工大設立準備委設立から知る尾形源二市議(改革会議)は「東北の芸術大学として育てるのが当初からの目的。その『公設』がどう担保されるのかあいまいになってしまった。法人統合は白紙に戻すべきだ」と述べた。 

 この他にも複数の市議が京都造形大などの財務内容や定款の開示を求めたが、市川市長は「大学側から報告を受けていない。赤字の金額をいわれても分からない」と答えた。【和田明美】

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