国際教養大・研究センター運営費 秋田県の助成、論点浮上『河北新報』2011年9月28日付

『河北新報』2011年9月28日付

国際教養大・研究センター運営費 秋田県の助成、論点浮上 

 秋田市の国際教養大が、来年1月に開設を目指す東アジア調査研究センターへの秋田県の運営費助成をめぐり、開会中の県議会9月定例会で議論が続いている。同大は公設民営のため、県の助成が妥当かどうかが論点に浮上。同大の開学に反対した経緯がある最大会派の自民党を中心に議論百出の様相で、先行きは不透明だ。

 「大学がセンターを自主財源でやると言っている。大学の剰余金を使うのは当然ではないか」

 22日の県議会総務企画常任委員会。武田英文議員(自民党)は、同大の2010年度決算で生じた約1億円の剰余金に着目し、県をただした。

 大石勤企画振興部長は「今後は大学と話し合っていきたい」と、来年度以降の運営費助成の再検討に含みを持たせた。

 武田氏は中嶋嶺雄学長らを呼んだ16日の参考人招致でも、同じ点を追及した。その際、大学側は「剰余金を(運営費の大半を占める)人件費に充てるのはなじまない」「災害時の発電機整備などに使う」などと答弁していた。

 東アジア調査研究センターの運営費を、県と大学のどちらが負担するか。論点はここに絞られる。

 教養大は県が出資して開学した公立大で、法人化している。センターの運営費として、県は11~14年度に計約1億円の支出を見込み、11年度の約1000万円を本年度一般会計補正予算案に盛り込んだ。

 同大は、12年度入学の学生から実施する授業料の引き上げ分をセンター運営費に充てる方針。全学年で授業料引き上げが完了する15年度以降は、全て自主財源で運営する計画を立てている。

 22日で議論を終えた常任委は、来年度以降、大学の剰余金を使って県の負担を縮小する考え方を示した。議論の舞台は、28日からの予算特別委員会に移る。

 総務企画常任委員会の佐藤賢一郎委員長(自民党)は「各会派の中では、いろんな意見が出てくると思う」と慎重な姿勢を示している。

<東アジア調査研究センター>

 貿易実務の経験者や外国語が堪能な事務員ら5人の専任スタッフを採用し、東アジア地域の情勢分析を行う。収集した情報は教育に生かすだけでなく、県の政策や企業の海外進出に役立たせる。運営費はほとんどが人件費で、本年度が約1000万円、来年度以降は5500万円前後を見込む。

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