財源難、特別枠も縮小…概算基準決定『読売新聞』2011年9月21日付

『読売新聞』2011年9月21日付

財源難、特別枠も縮小…概算基準決定

国債44兆以下課題

 政府は20日、2012年度一般会計予算の概算要求基準を閣議決定した。(戸塚光彦)

 東日本大震災の復興費を別枠で管理する異例の仕組みとなった。高齢化で社会保障費が膨らんで全体を圧迫し、予算のメリハリづけを行う特別枠は11年度より大幅に縮小する。予算編成のスケジュールも例年より遅れており、年内編成に向けた課題は山積している。

今年度は2.1兆円

 安住財務相は20日の閣議後記者会見で「経済社会の再生を目指す予算にしていきたい」と述べ、野田首相が最終的に配分を決める特別枠「日本再生重点化措置」の活用に意欲を示した。 

 特別枠は、各省庁が比較的自由に使える裁量的経費など(11年度は計13・9兆円)を原則1割削って捻出した財源をもとに、新成長戦略や雇用などに重点配分する。民主党政策調査会の意向で、公共事業なども含まれた。 

 特別枠の規模は0・7兆円程度で、11年度当初予算で設けた「元気な日本復活特別枠」の2・1兆円を大きく下回る。前回は全省庁の経費を原則一律1割削減したのに対し、今回は人件費など削りにくい義務的経費を削減対象から除いたためだ。義務的経費の削減はすでに限界近くに達したとの見方もあるうえ、11年度予算編成で、義務的経費が予算の大半を占める省庁から「公平ではない」と反発を招いたことに考慮した。 

 一般会計のうち、借金の返済に充てる国債費などを除いた「歳出の大枠」のうち、約4割を社会保障費が占める。安住氏は「省庁を超え、予算を組み替えたい」と決意を示したが、「社会保障費の抑制に踏み切らない限り、メリハリの利いた予算編成は難しい」(経済官庁幹部)との見方も多い。 

「埋蔵金」も限り 

 政府は歳出の枠組みを示したものの、財源の確保には苦労しそうだ。 

 政府は復興費などを盛り込む11年度第3次補正予算案の財源として、例年は翌年度の当初予算で使う財政投融資特別会計の剰余金と積立金を0・8兆円繰り入れるなどして、税外収入を2兆円積み増した。さらに民主党内には、11年度当初予算で2・9兆円を繰り入れた外国為替資金特別会計の剰余金を3次補正で活用すべきだとの意見もある。 

 3次補正でこうした「埋蔵金」を使い切ってしまえば、12年度当初予算で税外収入を11年度当初予算(7・2兆円)並みに確保することは難しい。借金に頼らざるを得なくなって、国債の新規発行額を44兆円以下に抑える目標が達成できなくなる恐れがある。 

1か月遅れ 

 政府は12年度当初予算案を年内に編成し、年度内に国会で成立させたい考えだ。だが、菅前首相の辞任を巡る政治空白や3次補正編成のあおりで、12年度予算の作業は例年より1か月遅れ、各省庁は9月末までに財務省に予算を要求する。 

 限られた日程の中でどのように課題を整理していくのか、野田内閣は時間との戦いも迫られる。

 

 

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