行政刷新会議:歳出絞り込み限界 「パフォーマンス」懸念も『毎日新聞』2011年9月16日付

『毎日新聞』2011年9月16日付

行政刷新会議:歳出絞り込み限界 「パフォーマンス」懸念も 

 政府の行政刷新会議が15日、再始動した。民間議員を倍増し、東日本大震災を理由に事実上、作業を中断していた行政改革のてこ入れを図る。しかし、金看板だった事業仕分けによる歳出の絞り込みは限界で、新たな財源を捻出できる可能性は低い。天下りなど、官僚の既得権益に切り込めなければ、「増税のための財務省主導のパフォーマンス」(経済官庁幹部)との批判も招きかねない。 

 「これまでもこれからも、事業仕分けは財源の捻出が目的ではない」。蓮舫行政刷新担当相は就任後のインタビューで、歳出削減や効率化の数値目標を示さなかった。自民党時代の予算の無駄遣いを厳しく指弾し、民主党政権の象徴的な存在になっていた事業仕分け。だが、政権交代から2年を迎え、民主党政権が組んだ予算の無駄を、民主党自身が指摘せざるを得ないジレンマも起きていた。 

 このため蓮舫氏は昨年11月、事業仕分けの「発展的解消」を示唆した。さらに、菅政権が今年3月以降、震災や原発事故の対応に追われたこともあり、刷新会議の取り組みは停滞気味となっていた。 

 一方、今月就任した野田佳彦首相は復興財源などを巡る「増税ありき」の批判をかわす必要があると判断。税制論議に先立って、民主党の施策も含め予算の無駄を排除する姿勢を示そうと、民間人倍増などに乗り出した。 

 ただ、民間議員に特別な権限が与えられているわけではない。政府内からも「数値目標なしでは、民間議員も何をもって成功なのか評価できないだろう」(経済官庁幹部)と疑問の声が早くも漏れる。 

 また、独立行政法人や特別会計の見直し、公務員の福利厚生の削減といった重いテーマに着手した場合、首相が関係修復を進めている官僚から強い抵抗に遭うのは必至。事業仕分けで凍結されていた埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎建設が、野田政権発足直前に再開されたこともあり、「官に甘い、中途半端な切り込みしかできない」(証券アナリスト)との見方は根強い。

 

 

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