福井大に来春「連合大学院」 発達障害対応、4大と連携『福井新聞』2011年9月17日付

『福井新聞』2011年9月17日付

福井大に来春「連合大学院」 発達障害対応、4大と連携

 子どもに増えている発達障害に対応できる医師や学校教員の養成を目指し、福井大は来春から、大阪大など4大学と連携した「連合大学院」をスタートさせる。小児発達学を学ぶ博士後期課程(3年)のみの大学院で、医学部のある松岡キャンパス(永平寺町)に「福井校」を設置。本県にいながら、各大学の先端的な知見を身に付けてもらう。

 連合大学院は、大阪大大学院「連合小児発達学研究科」として2009年度から、大阪大と金沢大、浜松医大が展開してきた。大阪大は脳の神経細胞分野、浜松医大は児童精神医学など、大学ごとに研究の強みを生かした講座を設け、大学院の教育・研究のレベルアップを図っている。

 福井大は千葉大とともに、来春から連合大学院に加わる。福井大は、磁気共鳴画像装置(MRI)などの断層画像を用いた脳機能の解明や子どものうつ病の研究、保護者に対する支援の在り方などの分野で強みがあり、「こころの形成発達科学講座」の名称で授業を展開、各大学の院生が受講する。10人程度の専任教員を置く計画。

 院生として想定しているのは、医師のほか特別支援教育に携わる学校教員やスクールカウンセラー、看護師ら。特に教員らは、5年以上の実務経験があれば、学部卒でも受験できることになっており「現場での指導者」の養成に力を入れる。大学院博士前期課程や修士課程の修了者は、修了分野を問わず受験資格がある。

 入試は大阪大大学院が一括して担当する。「福井校」に入学した院生は遠隔授業や、各校に出向いて演習を受けるなどし、3年間で30単位を取得する。定員は5大学計15人。10月に募集を始める。

 これに加え福井大は9月21日、医学部附属病院に、全国でも珍しい子どもの「心」の専門外来を開設する。小児科と精神科、神経科が連携し発達障害に対応する。さらに同日から、児童精神医学などの研究者を学外から招いた「子どもの発達研究センター」が本格始動。連合大学院との連携の中で、発達障害の早期発見や治療法、子どもや保護者への支援の在り方などを多面的に研究する。

 県教委特別支援教育室の08年度調査では、県内の公立小児童のうち5・9%、公立中生徒でも4・2%で、発達障害が疑われている。1クラスに1~2人“気がかりな子”がいる計算だ。「発達障害の子どもが増えているにもかかわらず、これまで学校現場には医学の知識がなく、医師もまた現場を知らないままだった」と、同大医学部の佐藤真副学部長。

 「発達障害児の中には、特定の分野に天才的な才能を持つ子どももいる。能力開発も研究テーマの一つ」とし「文理融合の大学院で、発達障害を理解できる人材を継続的に供給していきたい」と話している。

 発達障害 ▽社会性やコミュニケーション能力がなく、こだわりが強い自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害▽注意力が持続せず、動き回り衝動性が強い注意欠陥・多動性障害▽聞く、読む、書く、計算する、推論する能力のいずれかの習得が著しく困難な学習障害―などがある。脳機能の障害とされ、乳幼児期に特性が現れ始める。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com