大きく育て医療産業 県内拠点化へ本格始動『大分合同新聞』2011年8月24日付

『大分合同新聞』2011年8月24日付

大きく育て医療産業 県内拠点化へ本格始動

 国内の高齢化や新興国の需要拡大を背景に成長が見込まれる医療産業の拠点化を目指して、大分県は取り組みを本格化させる。新規参入に関心がある地場企業を集めて、薬事法の知識習得や技術力アップを図る研究会を設置。中核となる大分大学医学部には寄付講座を設け、県内で既に産業基盤がある血液・血管分野の研究開発を促進していく。

 県内には、血液浄化や血管医療の機器を製造する旭化成クラレメディカル、川澄化学工業などの工場が立地。医療機器生産額は全国4位、血液浄化・血管医療機器に限ると最大の生産拠点となっている。

 その優位性を生かすため、県は昨年10月、同様の企業がある宮崎県と共同で東九州地域医療産業拠点構想(東九州メディカルバレー構想)を策定。幅広く医療を支える血液・血管分野について産学官が連携し、研究開発や人材育成の拠点づくり、医療機器産業の集積を目指している。

 大分県として関連の企業誘致に力を入れるほか、地場企業など約50社・団体が参加予定の新規参入研究会を30日に設立する。初回のセミナーでは、薬事法の入門的な講義に加えて、医療産業が集積する福島県の企業が事例発表をする。本年度は計3回のセミナーを計画している。

 大分大には年間5千万円(県と企業が半額ずつ負担)を出資して寄付講座を開設する。血液・血管の専門医を招いて研究を推進。医療現場と大学工学部や企業との橋渡しをするコーディネーターも置き、現場の課題を克服する技術開発につなげる。人材育成の場も設ける。

 県産業集積推進室は「医療分野は景気の影響を受けにくいのも特徴。半導体や自動車に続く新たな産業の柱に育てたい」と話している。

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