入試問題ネット投稿:不処分に元予備校生「迷惑、解決できていない」 /山形『毎日新聞』2011年7月8日付

『毎日新聞』2011年7月8日付

入試問題ネット投稿:不処分に元予備校生「迷惑、解決できていない」 /山形 

 「不処分になっても、大学やいろいろな方々に迷惑をかけたことは解決できていない」。京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットに投稿された問題。偽計業務妨害の非行内容で送致された元予備校生の少年(19)の少年審判で7日、山形家裁は不処分の決定を下した。元予備校生は付添人の弁護士に反省の言葉を述べた。【安藤龍朗、浅妻博之、前田洋平】 

 4大学は京都大のほか、立教、早稲田、同志社。

 家裁によると、少年審判には、元予備校生と母親、矢数昌雄裁判長ら3人の裁判官、付添人ら計10人が出席した。主任付添人の植田裕弁護士らによると、元予備校生はインターネットに入試問題を投稿したことを認めた上で、裁判官や付添人の質問に、現在の心境や反省の思いを落ち着いた様子で話したという。

 少年審判は一般に、成人事件の不起訴に当たる不処分▽保護処分▽刑事処分相当--のいずれかを決める。 

 京都地検は家裁に送致する際、「保護観察が相当」との意見を付けたが、付添人は「カンニング行為が偽計業務妨害罪に当たるかどうかは学説でも分かれている」として家裁に慎重な判断を求めていた。

 携帯電話のような最新の情報通信機器を使った不正行為が社会に広げた波紋は大きかった。カンニング行為が発覚した2月は受験シーズンの真っ最中。試験中は携帯電話を回収したり、妨害電波で携帯を一時的に使えなくする装置の導入を検討する大学も出るなど、各大学は対応を求められた。

 付添人によると、元予備校生は「携帯電話を使ったことでこれほどの大事になるとは思わなかった。社会的に大きな問題を引き起こした。すべての結果を受け入れたい」と話したという。

 元予備校生は京大など複数の大学に謝罪文を提出。今後について、「今までは大学に入ってから自分の進路を決めようと思っていたが、それでは駄目だと思った。これから目的が持てれば大学に入りたいが、今は考えていない」と話しているという。植田弁護士は、「結局、親元から離れて予備校の寮に入り、1人で悩みを抱え込んでいた。いろんな面で母親に負担をかけさせたくない思いがあったのだろう」とカンニングに至った心情を推察した 

 また、元予備校生の出身高校の教頭は「1人の若者として、これからの将来を大事にして歩んでいってほしい」と述べた。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com