震災ボランティア単位認定広がらず 県内は筑波大だけ 茨城新聞2011年6月24日付 

茨城新聞2011年6月24日付

震災ボランティア単位認定広がらず 県内は筑波大だけ 

東日本大震災でボランティアへの関心が高まる中、学生のボランティア活動の単位認定をめぐり大学の対応が進んでいない。茨城新聞の調べでは県内国公私立9大学のうち、認定制度を創設したのは筑波大だけだった。文部科学省は単位を認めることが可能とする通知を出しているが、大学からは「活動をどう単位認定するのか難しい」との声も上がる。一方、当の学生たちは「単位を目的に活動するわけではない」と冷静に見る向きがある。

文科省の通知は学生のボランティア参加を推奨するのが狙い。活動が授業の目的に関連する場合は、単位を付与できるとし、単位を認める範囲は大学ごとに判断する。

筑波大は通知を受け、学部と大学院に「東日本大震災ボランティア活動実践」科目を新設した。大学の窓口を通して現地に入った学生に対し、45時間の活動を目安に1単位を認める。活動報告書の提出が必要になり、同大担当者は「学習成果などを生かしたボランティア活動は学生の経験となり、将来社会に出ていく上で役に立つ」と意義を説明する。

また、従来からあるボランティア科目の中に震災ボランティアを「反映させる場合がある」としたのは3大学だった。

一方、「検討中」としたのは3大学。理由について「単位取得が目的になっては困るとの意見もあり、議論が続いている」(茨城キリスト教大)、「前向きに考えているが、活動をどう授業に位置付け評価するかなど細かい部分を詰める必要がある」(茨城大)といった声が聞かれた。

単位認定について学生たちはどう受け止めているのか-。

大学院の男子学生(24)は「活動で講義を休んだ時の対応は教師によってまちまちだった。単位を意識して活動するわけではないが、大学の後押しがあるのは心強い」と歓迎し、被災した北茨城市で活動した女子学生(22)は「有志でやっている。単位をもらえるならそれもいいかもしれないが、私はいらない」ときっぱり。別の女子学生(22)は「東北の学生が被災していることを考えると、被災していない地域の学生が被災地入りして単位をもらえるというのは心苦しい」と明かした。

被災地で支援活動を行う「日本国際ボランティアセンター」の緊急支援担当、下田寛典さん(30)は「何らかの教育の達成目標があって、災害ボランティアを単位認定するなら理解できる。実際には単位のことを度外視して活動している学生は多く心強い」と話した。

 

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