『西日本新聞』2011念6月16日付
原発事故対策本を22年ぶりに再出版 佐賀大教授ら5人執筆
東日本大震災による福島原発の事故を受け、福岡・佐賀両県の科学者でつくる日本科学者会議福岡支部核問題研究委員会は、小冊子「原発事故緊急対策マニュア ル」(合同出版)を22年ぶりに再出版した。核分裂の仕組みや放射線の種類とその特性など、原子力問題に関する基礎知識を解説した上で、被ばくを最小限に 抑えるための対処法を掲載している。
冊子は佐賀大学の豊島耕一教授(物理学)や九州大学の本庄春雄教授(非線形物理学)など5人の科学者 が執筆した。原発事故が起きた場合の対応策や放射線から身を守るための方法をイラストを交えて紹介し、肌の露出を抑える服装品の着用や情報をいち早く得る ためにラジオの携帯、放射線を遮るコンクリート製の建物への避難などをアドバイスしている。
同委員会は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故 (1986年)を受け、89年に旧版を発刊した。豊島教授は「原発の安全神話が崩れた今、住民は事故の発生を想定していないといけない」。放射線の影響に ついて執筆した本庄教授は「がんになる確率を少しでも下げるためにも身を守る術を身につけてほしい」と訴えている。A5判80ページ、1冊600円。