道教大 学長再選めぐり波紋■有志、公開質問状提出へ■「教職員投票反映せず」『朝日新聞』北海道版2011年6月16日付

『朝日新聞』北海道版2011年6月16日付

道教大 学長再選めぐり波紋
■有志、公開質問状提出へ
■「教職員投票反映せず」

 道教育大で5月末に実施された学長選をめぐり、学内に波紋が広がっている。結果は本間謙二学長(65)の再任。しかし、最終的に本間氏に決めた「学長選考会議」(議長=高向巌・北洋銀行会長)に先立って行われた教職員の「意向投票」では、対立候補の方が勝っていた。教職員の有志は近く学長選考会議に対し、選考の経緯を問う公開質問状を提出する。

 学長選は5月30日にあった。候補者は現職の本間学長と、同大釧路校の神田房行教授(62)の2人。

 同大の規定では、学長選考会議は、教職員による投票と候補者の面接結果を参考に、投票によって決定するよう定められている。

 教職員の投票が行われたのは同27日。対象は札幌、旭川、岩見沢、函館、釧路各校の教職員、付属校の幹部教員ら526人だった。このうち484人が投票し、有効投票は458票。神田氏が250票、本間氏が208票で、神田氏が42票上回っていた。

 ところが30日に開かれた学長選考会議では、委員16人のうち本間氏が14票、神田氏が2票となり、本間氏の再任が決まった。

 この結果に、神田氏を支持していた教職員を中心に「1位になった人が選ばれないのはおかしい」「教職員の意向を無視している」などの声が出ている。ある教授は「教職員の投票でこれだけ差があったのに、学長選考会議でどのような議論があったのか知りたい」と話す。

 こうした声を受けて教職員有志は学長選考会議に対し、選考の経緯や会議の内容を問いただす公開質問状の提出を予定している。

 「学長選考会議」の委員16人のうち、7人は高橋教一・道教育長、道農業協同組合中央会の飛田稔章会長ら学外の有識者。残り9人が同大副学長や理事、付属小学校長らだ。

 ただ、最終的な選考結果が教職員の投票結果と一致しなくても、手続き上の問題はない。かつては教職員の投票で決まった大学が多かったが、2003年に制定された「国立大学法人法」に「学長選考会議の選考により行う」とされた。

 文部科学省によると、こうした選考方法は、国立大の独立行政法人化により学長に経営者としての資質やリーダーシップが問われるようになったことが背景にあるという。

 他大学で、教職員の投票では1位以外だった候補が学長に決まった例は富山大、九州大、山形大など。滋賀医科大、新潟大、高知大などでは結果を不服として訴訟にもなったが、係争中の高知大以外は結果は覆らなかった。

 本間学長は朝日新聞の取材に対して、「大事なのは学生たちが素晴らしいと思い、道民にも支持される大学になること。選考について私はコメントする立場にない」と述べた。

(芳垣文子)

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