『西日本新聞』2011年6月11日付
「宇宙焼酎」造り着々 鹿児島大学とメーカー12社 12月完成目指す
宇宙を旅した酵母とこうじ菌を使った「宇宙焼酎」造りに向け、鹿児島大学で、酵母とこうじ菌の本格的な培養が始まる。同大での増殖と性質調査を経て、焼酎メーカーに引き渡される。12月にはロマンにあふれた焼酎が出来上がる見込みだ。
宇宙焼酎を造るのは、鹿児島県の焼酎メーカー12社と大学の研究者でつくる「鹿児島宇宙焼酎ミッション実行委員会」(代表=鮫島吉広・鹿児島大学教授)。
使用する酵母とこうじ菌は各3種類。それぞれ乾燥させた状態でチューブに入れて5月16日、米国からスペースシャトルで国際宇宙ステーションに運ばれた。同31日、地球に帰還した。
実行委事務局長の馬嶋秀行・鹿児島大学教授が帰還地の米国で受け取り、今月5日、同大に到着した。増殖の可否を調べるため、同大焼酎・発酵学教育研究センターで試験的に養分入りの寒天にのせたところ、順調に増殖したという。
近く実際の使用に向けた本格的な培養を始める。アルコール発酵の強弱や耐酸性、芳香、味を調べた上で、焼酎造りが始まる9月前にはメーカーに引き渡す予定。
鮫島教授は「宇宙の放射線の影響が出るかどうか興味深い。穏やかで落ち着いた飲み心地の宇宙のロマンを感じる味になれば」と話している。