グローバル人材の育成に向けた政府の取り組みと産業界への期待で説明聞く -鈴木文部科学副大臣から/教育問題委員会 日本経団連タイムス No.3041 (2011年5月19日)

日本経団連タイムス No.3041 (2011年5月19日)

グローバル人材の育成に向けた政府の取り組みと産業界への期待で説明聞く

-鈴木文部科学副大臣から/教育問題委員会

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日本経団連は4月22日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会(川村隆委員長、石原邦夫共同委員長)を開催し、文部科学省の鈴木寛副大臣から、グローバル人材の育成に向けた政府の取り組みと産業界への期待について説明を聞くとともに意見交換を行った。

鈴木副大臣はまず、英国、米国、韓国などの諸外国が高等教育投資を増やすなかで日本が一貫して削減してきた結果、現在、日本の高等教育投資は米国のそれと比べて6分の1程度の規模になっていること、米国や韓国が1990年代に教育投資を増やしたことが、2000年以降の両国の経済成長をもたらしたことなどを指摘した。

そのうえで、現政権が平成23年度予算で、6年ぶりに国立大学運営交付金等から成る大学関係主要経費の増額を実現し、人材育成や研究補助に関する施策の充実を図ったこと、また学生が安心して学べる環境を実現するため、大学等の奨学金事業や国立・私立大学の授業料減免等の充実に力を入れていることを紹介した。

鈴木副大臣はまた、日本の大学進学率は、国際的に見ても高いとは言えず、また都道府県によってもバラつきがあり、東京は73.1%であるが、30%台の道県も17あること、両親の所得格差が大学進学率の差につながっている面があるので、無利子奨学金や国立大学の授業料減免の拡充を通じて教育の機会均等を図る必要があることを訴えた。

さらに、民主党の考える、これからの日本に必要な人材像として、鈴木副大臣は、(1)人類に新たな価値を創造する人材(2)日本で創造した価値を、アジアをはじめ諸外国に展開していく人材(3)介護、保育、教育など世代や立場を超えてコミュニケーションのできる人材――の3つのタイプを挙げた。そのうえで、OECDが毎年、全世界の15歳を対象に実施している学習到達度調査(PISA調査)の09年の結果において、読解力(8段階評価)、数学的リテラシー(7段階評価)、科学的リテラシー(7段階評価)の分野で、習熟度レベル5以上を得た日本人生徒はOECD全体の11%から13%を占めていることを挙げ、初等中等教育段階では国際的にも、人類に新たな価値を創造する可能性の高い人材層を育成しているにもかかわらず、高等教育段階でそれを伸ばしきれていないと指摘した。

そして、「リーディング大学院構想」のもと、これからのグローバル化社会で、世界のリーダーとして、広く産官学の各層で活躍できる高度人材を育成するため、日本の大学院教育を抜本的に見直して、博士前期・後期課程を組み合わせた5年間の一貫したプログラムにしたいと述べるとともに、実社会とのつながりを意識したものにするため、カリキュラムの策定に際しては、産業界の積極的な協力を期待したいとの考えを示した。

最後に、東日本大震災に関連して、鈴木副大臣から、地域の児童、生徒、学生を対象にした奨学金へのさらなる協力への要請があった。

【社会広報本部】

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