天文学者の日々:/63 大学ランキングの評価 宇宙科学部門で愛媛大トップ『 毎日新聞』愛媛版2011年6月4日付

『毎日新聞』愛媛版2011年6月4日付

天文学者の日々:/63 大学ランキングの評価 宇宙科学部門で愛媛大トップ

 「大学ランキング2012年版」(朝日新聞出版)が出たので、手に取ってみました。大学ランキングと聞くと、当然、東大や京大など旧帝大系伝統校の独壇場のように思われるでしょう。実は私も、手に取るまではそう思っていました。ところが、かなり多角的に大学が評価されていて、私たち大学教員にも大変役に立つものです。

 たとえば「事務職員力」「大学図書館」「国際ボランティア」「「コンテスト入賞」「教員の純血率」「保護者会」「学生生活」などもランキングされていたりします。ちなみに「女子学生比率」では、法学部部門で愛媛大がトップです。「学長からの評価」では750校中第17位で、教育関係では第7位になっています。各大学の学長の目は確かなものです。その中で高い評価を受けていることはうれしい限りです。

 「宇宙関係」でも大変うれしい結果が出ていました。研究論文の評価は難しいものですが、通常は、他の論文にどのぐらい引用されたか(被引用率)が目安に使われます。引用回数が多いということは、その研究分野に大きなインパクトを与えているからです。これを調べている会社がトムソン・ロイター社です。61年以来、世界の主要な学術雑誌を網羅して引用索引データベースを作り、各論文の被引用率を集計しています。12年版に出ているデータは05年から09年の5年間に出版された論文の被引用率がランキングされています。宇宙科学部門ではなんと、愛媛大がトップなのです。宇宙関係では昔から東大、京大、東北大が「御三家」と言われており、その他にも名古屋大、大阪大、広島大など力のある大学が目白押しです。その中で1位になったということは、大変価値のあることだと思います。

 あともう一つ驚くことは私個人が第7位にランキングされている項目があることです。それはメディアへの発信度・自然科学部門です。私よりたくさん発信している人がたくさんいるように思っていたので、驚きの結果です。原因は、このランキングの集計が、(1)日経サイエンスとNewtonにいくつ記事を寄せたか(2)ブルーバックスの冊数、に基づいているためです。思い返してみると、二つの科学雑誌には年1回ぐらいのペースで記事を書いてきましたし、ブルーバックスは2冊出版しました。前回(第62話)紹介したように、3冊目のブルーバックスを出版したので、来年は順位が上がるかもしれませんね。

 皆さんも大学ランキングを眺めてみてはいかがでしょうか。面白い発見があるかもしれません。。<愛媛大学宇宙進化研究センター長・谷口義明>

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