宮城沿岸近郊に分院構想 東北大病院有志が提案『河北新報』2011年6月4日付

『河北新報』2011年6月4日付

宮城沿岸近郊に分院構想 東北大病院有志が提案

 東北大病院(仙台市青葉区)で、東日本大震災で被災した宮城県の三陸沿岸の近郊に「分院」を設ける構想が浮上している。津波で病院や診療所が壊滅的な被害を受けた沿岸部の医療を支えることに加え、大学病院が地震などで被災した際の補完拠点として位置付けたい考えだ。

 震災による地域医療の崩壊や医師の流出を食い止める対策の一つとして、病院内の有志らが提案した。災害時の拠点病院となるよう、海岸線から10キロ以上内陸に設置。太陽光発電や地下水利用でライフラインを確保するなどのアイデアが出ている。

 東北大病院関係者によると、災害医療の研究、教育拠点としての機能も持たせる。救急医療や災害時の感染症、精神医療など、被災地にある東北大ならではの研修プログラムを整備し、若手医師の確保にもつなげたいという。

 東日本大震災では、宮城県南三陸町の公立志津川病院など、県内の7病院が壊滅的な被害を受けた。東北大病院関係者は「被災地は仙台から遠く医療支援が届きにくかった。医師を派遣できる拠点病院を置くことで、安定した人的支援を行えるのではないか」と説明する。

 被災地域の今後の復興計画や街づくりの方向性との兼ね合い、財源の問題など具体的な検討には入っておらず、実現性は未知数という。関係者は「あくまでアイデアの段階だが、有効な考え方の一つではないか」と提案している。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com