福井大原子力研に危機管理分野 学科新設、耐震・耐津波など研究『福井新聞』2011年6月2日付

『福井新聞』2011年6月2日付

福井大原子力研に危機管理分野 学科新設、耐震・耐津波など研究 

 東京電力福島第1原発事故を受け、福井県の福井大は1日、同大附属国際原子力工学研究所に「原子力防災・危機管理分野(学科)」を新設し、原発の耐震・耐津波、危機管理などの研究を進めることを明らかにした。

 同日県庁で開いた同大の福島県調査団の派遣報告会見で、福田優学長が表明した。

 2009年4月に開所した同研究所は現在、教員8人が在籍。原子力工学基礎、同研究開発、医学物理・化学、原子力防災工学の4分野で研究を進めている。

 原発事故を踏まえ、原子力防災工学分野を改編し、原子力防災・危機管理分野を新設する。県や敦賀市と連携し▽シビアアクシデント(過酷事故)評価▽耐震・耐津波▽災害発生のリスク評価▽危機管理学▽放射線計測・防護▽被ばく線量などの基準・規則の国際化―の6テーマの研究を行う。

 今後、専門の教員や学生を受け入れ、今回の原発事故などで生じたさまざまな課題について実効性ある研究を進める。研究成果は県や国、電力事業者のほか、現地調査を行った福島県にも提言するという。

 福田学長は「本県には原発が14基あり、福島と同じような状況に陥る可能性がある。耐震や危機管理など学問的な根拠に基づいた研究成果を施策に生かしてもらいたい」と述べた。

 併せて福島県の教育を支援していく方針を示した。今後、福島大と連携し被災児童・生徒の心のケアをはじめ、機能が喪失している学校の復興など支援する。校庭の放射線の実態調査にも参加。医学部では、緊急被ばく医療に対応できる医師や看護師の養成にも力を入れるとした。

 調査団は福田学長を団長とする教職員14人で構成。5月24~26日の日程で福島県内の津波被災地や県災害対策本部、国の原子力災害現地対策本部(オフサイトセンター)、福島大、福島県立医大、避難所などを訪れ状況を調べた。

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