国家公務員給与:引き下げ合意、地方公務員に波及も『毎日新聞』2011年5月23日付

『毎日新聞』2011年5月23日付

国家公務員給与:引き下げ合意、地方公務員に波及も

 一般職の国家公務員給与引き下げについて政府と連合系の公務員労働組合連絡会(連絡会)が23日合意したことで、交渉による給与引き下げが進むことになった。だが、地方公務員の給与引き下げなどで政府内に意見の違いがあるなど、政府が乗り越える課題は多い。

 「財務、文部科学、総務3大臣の合意文書がほしい」。連絡会は13日の初交渉で片山善博総務相にこう要望した。地方公務員給与の見直しはこれまで、国家公務員給与をベースに算定され、地方交付税と義務教育国庫負担金が見直されてきたことを懸念したためだ。片山氏は20日の記者会見で「国がやったから自治体も下げろなんて全くの愚策」と波及を否定した。

 連絡会は片山氏が交渉で「政府を代表して(回答する)」と発言したことで合意に踏み切ったが、野田佳彦財務相は会見で「今までのルールに基づき、その時期に適切に対応する」と引き下げを否定しなかった。

 給与の引き下げと国家公務員制度改革関連法案の同時成立もおぼつかない。片山氏は23日の合意後、「同時に決着がつくよう最大限の努力をしたい」と述べた。だが、野党が多数を占めるねじれ国会で、連絡会も「(同時成立の)不透明さはたぶんにあると思う」と認める。「政府は(同時成立の)出口までやるとの見解を示した」(連絡会)との理由で合意したものの、今国会の会期末は6月22日に迫っており、政府内からも「会期延長がなければ成立は難しいだろう」との声もある。

 民主党は09年衆院選マニフェストで国家公務員総人件費2割削減を掲げたほか、菅直人首相が10年9月の党代表選で「人勧を超えた削減を目指す」と公約した。しかし、10年度は人勧通りの削減にとどまっていた。【中山裕司】

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com