北斗が北大と連携 新分野のリハビリ研究『十勝毎日新聞』2011年5月10日付

『十勝毎日新聞』2011年5月10日付

北斗が北大と連携 新分野のリハビリ研究 

 社会医療法人北斗(帯広市稲田町、鎌田一理事長)は北海道大学大学院保健科学研究院(札幌)と連携して、膝や腰の疾患などを予防する新しい分野のリハビリテーションに取り組む。同大学院に研究費などで1億円弱を寄付、大学院内で研究を担う寄付講座が開設された。同大学院の武田直樹教授(56)も北斗クリニック関節センターで外来を担当。リハビリを科学的に分析する最先端機材も導入して研究を深め、臨床での普及を目指す。武田氏は転移性骨腫瘍の専門家でもあり「十勝で力になりたい」と意欲を語る。

 寄付講座は「北斗関節機能障害予防学分野」で、5月から3年計画で開設。一般的にはすでに起こった関節や運動機能障害に対し理学療法を中心とするリハビリを行うが、この研究では障害予防を重視する。鎌田理事長は「リハビリの科学的な議論を深め効果的な治療につなげたい。予防リハビリの研究は全国的に見て新しい領域」と強調する。

 大学院での研究を基礎とし北斗関節センターの臨床で成果を反映していく流れ。武田氏は「高齢化で膝や腰の痛みを伴う関節症が増えている。病状が悪くなってから治療を受けるというより、早期にリハビリが介入することで効果的に治療し、手術が必要な患者を減らしたい」と強調する。

 特に関節の動きを科学的に分析する三次元動作解析装置など新しい機材を活用。「例えば膝の老化が将来どうなるかなどを分析し、状態が悪くなるリスクがある人に、どういうリハビリをするかを研究していく」と説明。膝に負担をかけない歩き方など日常生活動作の改善につなげる。石田直樹・関節センター長は「患者の家族にも啓発できるよう普及できれば」と話す。

 武田氏は北海道大学病院整形外科の医師として、がん転移による骨腫瘍の治療も専門。北斗では今後、がんの特殊な治療法のひとつ「凍結療法」として、細胞組織を凍結壊死させることで治療する手術機器を導入。武田氏は「体に大きな負担をかけない低侵襲治療で効果を引き出したい。道内では札幌圏に限られている骨腫瘍の治療を十勝でもできるように頑張りたい」と話している。

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