原発是非、揺れる新入生…島根大調査『読売新聞』2011年4月28日付

『読売新聞』2011年4月28日付

原発是非、揺れる新入生…島根大調査
「危険」 77%でも 「必要」 87%

 福島第一原発の事故を受け、島根大法文学部の上園昌武教授(環境経済論)が、今春入学した学生たちを対象に原発に関する意識調査を行った。

 原発全般について「やや危険」「とても危険」と不安を感じている学生が計77%に上った一方、エネルギー源としての原発については計87%が「必要」「ある程度必要」と答えるなど、二律背反する結果となった。

 調査は今月8日、環境問題の講義に出席した1年生407人を対象に実施。12項目について選択式で、330人から回答を得た。

 福島第一原発の事故後、原発に対する考え方が変わったかとの設問では、「否定的になった」「どちらかと言えば否定的になった」との回答が計57%。さらに、同大学松江キャンパスから約8キロの距離にある島根原発(松江市鹿島町)への印象は、「とても不安」「やや不安」が計72%で、「十分安心」「やや安心」の計28%を大きく上回った。

 しかし、今後の原発建設については、「現状維持」(37%)が最多で、「少しずつ推進」も23%だった。

 上園教授は、多くの学生が原発に危険を感じながらも、必要とした結果について、「これまで、原発との共存という問題について、真剣に考えた経験がなかったためだろう。国や電力会社が原発の安全神話を一方的に宣伝してきたことも背景」と分析。「今回の原発災害を機に、学校や大学での教育で、原発の諸問題を真正面から取り上げていくべきだ」と指摘している。

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