『佐賀新聞』2011年4月27日付
原発事故対策マニュアルを再出版 豊島佐賀大教授ら
東京電力福島第1原発事故を受け、佐賀大学の豊島耕一教授(物理学)を含む日本科学者会議福岡支部核問題研究委員会はブックレット「原発事故緊急対策マニュアル」(合同出版)を再出版した。事故発生時の応急措置などを市民向けに分かりやすく解説している。
事故の事前対応として自治体の原子力防災計画の有無や原発の方向と距離を調べておき、ヨウ素剤の入手方法なども確認するようアドバイス。発生時には肌が露出しない服装で避難し、体外被ばくの場合は大量の水とせっけんで洗い流すなどの対策を例示。体内被ばくを防ぐには、厚手の木綿のハンカチを折りたたんで口に当てるのが最も効果的などと表している。
同委員会はチェルノブイリ原発事故(1986年)を受け、国内でも緊急時対策の必要性を警鐘するため89年に旧版を発刊。今回の福島第1原発事故で加筆、修正した。1冊600円。豊島教授は「原発の安全神話が崩れ、住民には事故対策などの知識が不可欠になった。原子力防災を正しく理解する一助になれば」と話す。