震災で相次ぐ留学中断 対応追われる大学『読売新聞』2011年4月23日付

『読売新聞』2011年4月23日付

震災で相次ぐ留学中断 対応追われる大学

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で、余震や放射能漏れへの懸念から、県内の大学でも留学生が帰国を早めたり、訪日を取りやめたりするケースが急増している。国際線航路の一部運休で、春休みなどで帰国していた留学生から「どうすれば戻れるのか」との問い合わせもあり、大学側は対応に追われている。

 弘前大学では、昨年10月から学んでいた交換留学生31人のうちアメリカ人、ドイツ人、ルーマニア人の計3人が、今年9月までの留学期間だったのにもかかわらず、途中で留学を取りやめた。

 同大によると、ドイツ人学生は、福島第一原発の事故発生後に一時帰国し、そのまま戻らず、アメリカ人とルーマニア人の留学生2人も事故後に帰国。後日、「家族が放射能漏れを心配している」と、留学を断念するとの連絡が大学に入った。

 今月から留学予定だった学生についても、29人のうち韓国やニュージーランドなどの10人から最近、相次いで留学をやめるとの連絡が寄せられた。同大留学生課は「留学生を増やす計画を進めてきただけに、きわめて残念だ」と落胆している。

 青森中央学院大学では、留学生125人のうち約100人が春休みなどで帰国していたさなかに震災が発生。同大は8割の留学生から日本に戻るとの連絡を受けた。しかし、大韓航空が利用客の減少で3月23日から青森―ソウル線を運休。韓国などに帰国している留学生から「帰国手段が分からない」という相談が同大に入っている。

 このため、同大は学内共有サイトで青森県まで戻るルートを提示する措置を取った。残り2割の学生は4年生が大半で、再来日せずに母国で就職活動をすることになったといい、帰国を早めた格好となった。在学中の留学生数人からは「地震や原発が不安でならない。大学をやめたい」との相談も受けている。

 八戸工業大学は、中国人留学生4人のうち、春休みで帰国していた2人が戻っていないことを確認。予定より1か月遅れの5月上旬に来日するとの情報もあるが、日本に戻ることを家族から強く反対されているという。同大学生課は「中国では、予想以上に原発事故に対して敏感になっている」としている。

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