原発不安?留学生、予定の半数 国際教養大入学式 『朝日新聞』2011年4月22日付

『朝日新聞』2011年4月22日付

原発不安?留学生、予定の半数 国際教養大入学式

 震災や原発事故の影響で国際教養大(秋田市)の留学生に途中帰国したり、来日を見合わせたりする動きがある。海外の一部提携校が日本への留学を凍結したことが主な理由だが、自ら情報を集めて来日を決めた学生もいる。同大は当初予定の約半数の留学生数で、22日の入学式を迎える。

 同大によると、昨秋からの留学生61人と、今春からの新規留学生の84人の計145人が春学期を迎える予定だった。しかし、原発事故の発生以降、来日見合わせなどの連絡が急増。21日現在、春学期を辞退する学生が58人、留学を秋まで延期する学生が17人おり、予定通りの在籍は70人にとどまる。国別には米国やフランス、ノルウェー、豪州からの辞退者が多いという。

 震災直後から同大は海外提携校に、県内の被害やライフラインの復旧状況などを連絡している。原発事故が収束しないため、現在は県内の放射線量も伝えている。米沢輝夫・事務局次長は「地震よりも原発の不安を挙げる声が多い。原発と共存してきた国ほど、敏感です」と話す。

 震災で、提携校でもあるカリフォルニア大やオレゴン大(ともに米国)は日本向け留学プログラムの一時凍結を発表。国際教養大によると、海外から学生が来ないと授業料の相互免除協定を結んでいる提携校に今後、日本人学生が留学できなくなる恐れもあるという。

 一方、予定通り来日し、新学期を待ちわびる留学生もいる。モスクワ国際大学(ロシア)からの留学生、ブレーミヤ・イオンさん(21)は大学から留学の延期もできる、と伝えられた。だが、母国で情報を集めて秋田行きを決めた。「ロシアでは福島の事故は(1986年の)チェルノブイリの事故に匹敵しない、という冷静な見方が多かった。秋田は静かで、判断は間違っていなかった」

 また、オーフス大学(デンマーク)からのルイーズ・クリステンセンさん(22)ら3人は成田空港を避け、関西空港経由で来日。京都や東京で2週間を過ごし、15日に秋田に来た。「母親からは日本行きを心配されたので、毎日メールで無事を知らせている」と話した。

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