キャンパスが避難所に ネット駆使し物資募る 福島大『河北新報』2011年4月21日付

『河北新報』2011年4月21日付

キャンパスが避難所に ネット駆使し物資募る 福島大

 東日本大震災の被災者が身を寄せる福島大(福島市)の避難所で、学生ボランティアが活躍している。食事の準備や子どもの世話に加え、避難所生活の様子をインターネットで発信して物資を募るなど工夫も凝らす。大学の授業が始まるため避難所は4月末に閉鎖するが、学生らは被災者の支援を続けていくという。

 福島大の避難所は3月16日に開設され、現在は45人ほどが暮らす。福島第1原発に近い浜通り地方を中心に、最も多いときは約150人が生活した。福島大と桜の聖母短大(福島市)の学生約70人がボランティアとして活動する。

 避難所の取りまとめ役で、地域社会と住民の自主的活動を研究する行政政策学類の鈴木典夫教授(地域福祉学)は「避難してきた人と学生が一体になれるようなコミュニティーを目指してきた」と説明する。

 学生らは、避難住民がなるべく日常に近い暮らしを送れるよう、食事の場所と寝る場所を別々にしたり、段ボールで間仕切りをしてプライバシーを確保したりした。一角には、自由にインターネットができるパソコンも用意した。

 避難生活の日常をブログで伝え、足りない物資の支援を全国に呼び掛けた。行政政策学類4年の川村遼さん(21)は「ボランティア活動は初めてだが、仲間と一緒に和気あいあいと取り組めた」と語る。

 「以前いた避難所とは比べものにならないほど快適」と言うのは、南相馬市原町区から家族6人で避難している会社員遠藤祐司さん(37)。「学生さんには、子どもの世話もしてもらった」と感謝する。

 鈴木教授は「今の学生は自主性がないと言われるが、柔軟に発想して行動できる。被災者が別の場所に移っても、引き続きサポートしていきたい」と話している。(熊谷吉信)

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