津波流失の六角堂再建へ 連休明けにも海中捜索 茨城大『茨城新聞』2011年4月20日付

『茨城新聞』2011年4月20日付

津波流失の六角堂再建へ 連休明けにも海中捜索 茨城大

 東日本大震災の津波で消失した岡倉天心ゆかりの国登録有形文化財「六角堂」(北茨城市大津町五浦)を、管理する茨城大(池田幸雄学長)が再建に乗り出すことになった。同大職員が沖合20~30メートルの海上で浮かんでいる六角堂を写真に撮影していることから、そのまま海底に沈んだ可能性もあるとして、文部科学省や市など関係機関と協議し、早ければ5月の大型連休明けにも海中の捜索活動に入りたい考えだ。

 海に沈みかけた六角堂を撮影したのは、同大五浦美術文化研究所の村山進さん(63)。津波が去った後、心配して断崖に駆け付けると、いつも松林の間から見える朱塗りの六角堂の姿がなく、海を見渡すと地元で「大五浦」と呼ばれる入り江の岩礁そばで、横倒しになった六角堂が波に洗われ、建物の約3分の2が海中に沈みかけているのを目撃。カメラのシャッターを2回切り、慌てて管理事務所に戻り大学に連絡したという。

 翌日、六角堂のあった場所に行くと土台しかなく、朱塗りの壁板の残骸2枚が引っ掛かっていたという。

 同大は3月24日、被害の大きかった工学部と付属小学校の施設修繕、六角堂の再建を緊急対応とする方針を決定。幸い、昨秋に六角堂の詳細な設計図を書き上げており、再建は容易という。ただ、池田学長は18日の記者会見で「大変重要な文化財。(レプリカを)作り直すよりは、できるだけ現物を回収して天心が造ったものに近い形で復元するのが願い」と述べ、海中捜索を行う方針を表明した。

津波の衝撃で激しく損壊したり、沖に流された可能性も否定できないが、大学側は「目撃地点に沈んだ望みはある。六角堂は五浦のシンボル。柱1本、瓦1枚でも引き揚げたい」とし、専門家の助言を得て今後、具体的な捜索方法や再建に向けた検討に入る。

 

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