県内大学への留学中止・延期相次ぐ 原発事故が影響 『下野新聞』2011年4月14日付

『下野新聞』2011年4月14日付

県内大学への留学中止・延期相次ぐ 原発事故が影響

 東日本大震災に伴う原発事故などの影響で、県内の大学100+ 件に今春入学する予定だった外国人留学生が留学を中止したり、延期を申し出るケースが相次いでいる。「国際交流」を特色の1つとしてアピールしている各大学は、留学生の日本離れに危機感を募らせている。

 宇都宮大では交換留学で来る予定だった26人のうち、韓国の2人が留学を取りやめた。オーストリアや台湾などの7人も、入学時期の延期を申し入れた。いずれも「日本への渡航制限が出ている」「親が地震や放射能を心配している」といった理由だった。

 同大によると、震災直後に345人の留学生のうち約4割の149人が一斉帰国。新年度の講義開始とともに徐々に姿を見せ始めているが、「最終的に何人が戻るかつかめていない」(留学生担当者)という。ホームページに英語版の地震情報や放射線量データを掲載し、冷静な対応を呼び掛けている。

 白鴎大では、8月まで在学予定だった台湾の交換留学生1人が急きょ、期間を切り上げて帰国。米国の交換留学生2人も「母国の大学の許可が出ない」と入学時期を延期した。

 同大の担当者は「栃木は大丈夫だと言っても、事故のあった福島県と隣接し危険という認識が広まっている。国際交流に力を入れてきただけに、問題の長期化は大きな痛手」と懸念する。

 こうした動きに歯止めを掛けるため、白鴎大は米国や台湾の提携校を今月中に訪問し、交流の継続に向けて交渉することを決めた。

 作新学院大にも留学生からの問い合わせが急増。国が公表する放射線量のデータなどを伝え対応している。

 別の大学職員は「本当に必要な情報を政府や東京電力が発信しないので、不安が広がっている側面もあると思う。今のままの情報公開では、ますます日本離れが進んでしまう」と指摘している。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com