土壌や海、大規模調査へ 周辺住民の放射線量測定 共同通信配信記事2011年4月14日付 

共同通信配信記事2011年4月14日付

土壌や海、大規模調査へ 周辺住民の放射線量測定 

 福島第1原発の事故を受け、全国の大学や研究機関の研究者らが、地元の住民や土壌、海への影響を大規模に調査する取り組みを始めることが14日、分かった。参加するのは教授クラスの100人以上で、ほかの教員や大学院生も含めると数倍の人数が見込まれる。希望する地元住民の放射線量計測を支援する事業も立ち上げる。

 住民の放射線量測定は、放射性物質への不安に対応するためで、東京大と大阪大が中心となる。対象となる可能性があるのは、福島第1原発周辺の約20万人。そのうち放射性ヨウ素の被ばくで甲状腺がんになりやすい14歳以下は約3万人。

 大学や研究機関の教員、研究者、大学院生から放射線の計測ができるボランティアを募る。東大原子核科学研究センターは東日本、大阪大核物理研究センターは西日本からの受け入れを担当し、計測チームの編成や自治体との調整、ボランティアの訓練などを行う。

 また、原発周辺の土壌について共通のデータベース作りを目指す。大阪大のチームは福島県が既に進めている調査と連携し、5月から第1原発を中心に沿岸部の南北100キロ、内陸部60キロにわたって1500カ所の土壌採取を行う。首都大東京などのチームは、福島県や茨城県で大気や降水、土壌のデータを集める。

 海については(1)福島県沖の放射性物質の分布(2)食物連鎖に伴って生物に濃縮される放射性物質の量(3)生物に及ぼす影響―などの調査を予定。

 調査結果を一括して管理するウェブサイトの立ち上げも検討している。

 海洋汚染調査に関与する広瀬勝己・上智大客員教授は「個別の研究機関でなく日本全体で対応し、きちんとしたデータを出さないと世界に申し訳ない」と話す。住民と土壌を調査する谷畑勇夫・大阪大教授は「科学としてできることをきっちりやり、世の中に役立つところまで持っていきたい」と述べた。

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