MSN産経ニュース配信記事 2011年3月29日付
首都圏大学も授業開始を延期
東日本大震災や福島第1原発の事故を受け、大学が入学式の中止や延期をするケースが相次いでいる。東京都内の大学でも、計画停電や交通機関混乱で授業に影響が出るのを避けるため、授業開始を遅らせるケースが続発。大学現場も混乱の新学期となりそうだ。
東北大学(仙台市)では震災後、入学式の中止や、4月下旬までの授業休講を決めた。学生約1万8000人のうち安否確認できたのは98%にとどまっている。「震災で校舎も被害を受けた」(広報担当)としており、その対応にも追われている。
このほか宮城教育大学(仙台市)や岩手大学(盛岡市)などでも同様の授業先送り措置を決めた。被災地だけではない。震災の影響は、都内にも及ぶ。
東京大(文京区)では、工学部と経済学部が授業開始を例年よりも約1カ月遅らせ、それぞれ5月6日と10日に変更した。約1万4000人を集めて日本武道館で行われる予定だった入学式も大幅に規模を縮小。キャンパス内のホールで代表者数十人のみの参加に限定し、保護者の同伴も遠慮してもらう。同大広報課は「首都圏の電力需給が逼迫(ひっぱく)している状況などから、対応した」としている。
早稲田大学(新宿区)は4月1日に予定していた入学式を中止、授業開始も5月6日に延期した。一橋大学(国立市)も入学式を延期。授業開始も2週間遅らせ、通常は授業をしていない土曜日に振り替える。
東北出身の学生もいるため、「各学生に安否確認の一斉メールを送り、返信を待っている」(広報担当)状態だが、春休み中ということもあり、実態把握は難しいのが実情だ。
ほかにも多くの大学で授業延期などの措置を講じている。延期になった分を夏期休暇中に補講で補おうという大学もあるが、計画停電が続けば、節電でクーラーが効かない。ある私大教員は「授業が成り立つのか…」と不安げに話した。