『読売新聞』2011年3月30日付
めど立たない…大学130校で入学式中止・延期
東日本巨大地震の影響で、新年度の入学式を中止または延期する大学が、東北・関東地方の国公私立446校(短大含む)のうち、少なくとも130校に上ることが、文部科学省の調査で分かった。
被災地では校舎の損壊などのため講義の開始が遅れる大学も多く、同省は29日までに、授業時間を定めた大学設置基準を新年度に限り弾力的に運用することを伝えた。
東北地方では77校のうち約50校が入学式の中止・延期を決定。また岩手、宮城、福島の3県では、少なくとも計約25大学(一部の学部を含む)で授業開始が遅れる見込みだ。
被災者約250人がキャンパス内で避難生活を送り、自衛隊も駐留している宮城県石巻市の石巻専修大。大学側は5月下旬に授業を始めたい考えだが、「仮設住宅の建設が進まないことには、めどが立たない」(広報担当者)という。同大経営学部に進学予定の木村優斗さん(18)は、女川町の自宅にいた時に津波に襲われ、間一髪で避難できたが、同居の祖父母は行方不明のまま。家も、入学式用のスーツも流された。避難所暮らしが続き、「こんな状況で進学していいのか」と悩んだ末、将来を考え入学を決意した。しかし、「いったい、いつ始まるのか」と不安は募る。