『佐賀新聞』2011年2月24日付
出産後の女性医師復帰、佐賀大病院に支援窓口
出産や育児でブランクがある女性医師の現場復帰などを支援する窓口が佐賀市鍋島の佐賀大学医学部付属病院にできた。休職者や離職者に対し、希望する診療科に合わせて実践的研修をコーディネート。再教育を受けやすいように、託児施設などの子育て支援情報も提供する。医師不足や偏在化の改善を目指す事業の一環で、窓口の周知に向けて3月12日午後2時から、佐賀市のアバンセでシンポジウムを開く。
支援窓口は卒後臨床研修センターに設け、愛称は「SAGA-JOY(サガ・ジョイ)」=電話0952(34)3877。女性医師2人と職員2人が対応している。
具体的には、相談を受けた後、職歴や希望する診療科に合わせて研修をオーダーメード。大学病院の各診療科や民間病院と連携し、1カ月から半年間の再教育プログラムを組む。ブランクの間に進んだ医療技術や薬剤知識の獲得を目指しながら、臨床協力医として段階的にミーティングや外来診療にも加わり、スムーズな復帰につなげる。
受講しやすい環境を整えるため、休日や夜間、子どもの病気時に対応できる託児施設やベビーシッターの情報も提供。自宅でも学べるeラーニング教材も開発する。
国や県による「地域医療再生計画」の一環で、初年度の委託費は約1400万円。2013年度まで4年間実施する。
厚生労働省などによると、医師や薬剤師に占める女性の割合は年々増加し、2008年は18・1%の約4万9千人。29歳以下でみると36・1%で、3人に1人が女性だが、30代前半からの離職率が高く、医療界全体のマンパワーが不足する。
窓口担当の吉田和代准教授(47)は「結婚や出産後に仕事を続けられる支援体制が十分ではない」とみており、「離職せずに済む環境づくりを含め、意欲ある女性が安心して働けるようにサポートしたい」と話す。
現在、元形成外科医で、産婦人科医として復帰を目指す1人をサポート中。公的機関や研究職から臨床医への転身を目指す男性医師も支援する。今月からウェブサイト=http://saga-joy.jp/=を開設している。