被ばく医療で弘大など合同訓練『陸奥新報』2011年2月9日付

『陸奥新報』2011年2月9日付

被ばく医療で弘大など合同訓練

 弘前大学医学部附属病院高度救命救急センターと日本原燃、放射線医学総合研究所(千葉市)が8日、同センターで緊急被ばく医療訓練を行った。3者合同の訓練は初の試み。訓練では国内屈指の緊急被ばく医療の専門機関である同研究所と遠隔地にある同センターの連携をどのように図るかを検証するため、実際に千葉市から専門家チームが特殊車両などで移動。併せて距離的なハンディを埋めるためにテレビ会議を導入するなど、実際の災害発生時に即した訓練を行った。関係者は今回の訓練で抽出された課題を基に、さらに的確な受け入れ体制を図りたい考えだ。

 同センターは緊急被ばく医療を行う点が特徴で、被ばく医療の訓練も定期的に実施している。今回は同センターと日本原燃に加え、国内の被ばく医療体制の中で東日本の第3次医療機関に定められている放射線医学総合研究所が参加する大掛かりな訓練となった。

 訓練は約50人が参加して7日から実施。同日午前8時ごろに被ばく傷病者が発生し、日本原燃から同センターに搬送された―との想定。センターでは傷病者の受け入れや診察などの訓練を行うとともに、午前11時ごろに同研究所に支援を要請した。

 研究所では専門家が2チームに分かれ、一つのチームは新幹線などの公共交通機関を利用。別のチームは被ばく線量の測定機材などを積んだモニタリングカーで弘前入りした。公共交通機関の利用チームは約6時間、特殊車両チームは約10時間で到着した。専門家チームの移動中はセンターと研究所をインターネット回線で結び、テレビ会議で協議を行った。訓練では傷病者の治療などを行ったほか、施設の汚染検査や放射線の測定なども行い、8日午前中に終了した。

 訓練後の取材に対し、同研究所緊急被ばく医療研究センターの立﨑英夫障害診断室長は「派遣は予定通りにできたが、災害時には交通機関がストップしたり、高速道路が通行止めになることもあり得る。テレビ会議などで補うことが、より重要になるだろう」と指摘した。

 また、訓練の評価を担当した同研究所緊急被ばく医療研究センター被ばく線量評価部の山田裕司部長は「センター、原燃とは初めての合同訓練だったが、うまく連携ができた」と講評した。

 高度救命救急センターの浅利靖センター長は「傷病者の情報を事前共有しないなどシナリオなしの訓練を行い、医師、看護師らがその場で考えることができた。しっかりしたデータを取ることができたので、この成果を次のステップに生かしたい」と話した。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com