学生の成長 大学が支援『朝日新聞』島根版2011年2月9日付

『朝日新聞』島根版2011年2月9日付

学生の成長 大学が支援

◆地域貢献やリーダー養成/島大・県立大・愛媛大 取り組み発表◆

 島根大と県立大、愛媛大が、講義や研究だけでなく、ボランティアや就職活動までの幅広い学生支援の経験を交換し合う成果報告会を2日、松江市で開いた。2007~10年度に文部科学省の補助で実施した事業を通して、学生の成長ぶりなどを中国地方の大学関係者ら約90人に発表した。(藤井満)

 報告会は、先進的な取り組みを学び合うため、以前から島根大と交流があった愛媛大に呼びかけて実現した。

 島根大は、自主性に任せていたボランティア活動などに着目し、08年度から地域貢献やサークル活動、学会発表などの活動時間に応じてポイントを学生に与える取り組みを始めた。たまったポイントは大学生協での書籍購入に使えるようにしたほか、活動ぶりを優秀と認めた学生の授業料を免除する制度も設けた。

 その結果、ポイント数が多い学生ほど単位の取得数も多く、休学や退学も少ないことがわかった。制度が浸透した09年度の活動時間数は前年度に比べて、男子が67%、女子は49%増えた。ボランティア経験が就職活動に役立つという学生は4割に上るという。

 県立大は00年の開学以来、「就職が悪いと大学はつぶれる」という危機感をバネに就職活動に力を入れ、毎年9割以上の就職率を誇ってきた。都市部に比べて会社訪問もままならないため、今回の事業では、主な業界や業種、職種などを紹介する1社あたり30分のビデオを作った。事前に具体的な仕事内容を知ることで、説明会での質問をしやすくした。

 また会社をすぐに辞めると大学の信用が下がるとして、卒業生が仕事の悩みを相談したり、教員に助言を求めたりできるインターネットのサイトも設けた。孤立しないよう交流できるように工夫した。

 以前からボランティア活動を重視してきた愛媛大は、「リーダー養成」に取り組んだ。リーダーシップについての講義を受講した学生らを対象に、30人限定のリーダー養成ゼミナールや合宿研修を催した。学生自らが講義する場では、互いの成長のために遠慮なく批評しあう「クリティカル・フレンド」づくりを重視したという。

 ゼミに参加し、友人とNGO(非営利組織)を立ち上げた男子学生(23)は「自分のこと、相手のことを徹底的に考えるからしんどかった。そのぶん、様々な活動にチャレンジする基盤ができた」と振り返った。

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