『東京新聞』2011年1月29日付
私大・短大 4割赤字 09年度
全国で私立大と私立短大を経営する学校法人(大学法人、短大法人)の四割以上が二〇〇九年度に「赤字決算」だったことが、文部科学省への情報公開請求で入手した各法人の財務資料から分かった。〇八年度よりはやや改善したが、今後十年で十八歳人口が五万人以上減るとみられることから、地方を中心に破綻や再編・縮小を余儀なくされる中小の私大が増える可能性が強まっている。
私学助成を受けている大学法人などは、文科省に貸借対照表や消費収支計算書など財務資料を提出するよう義務付けられている。
各法人が文科省に提出した〇九年度の財務資料によると、授業料や寄付金などの収入から、人件費や教育・研究経費などの支出を差し引いた「帰属収支差額」がマイナスとなった「赤字決算」の法人が、六百三十法人中二百六十五法人(42%)に上った。
私学助成を受けなかったり、募集停止したりした法人も含めれば、赤字法人は二百七十を超すとみられる。
大学・短大法人は、大学経営を続けるため収入の一定額を「基本金」として、資産に組み入れなければならない。このため、実際にその年に使える収入と支出との差額はさらに悪化することになり、六百三十法人中四百八十三法人(77%)が赤字だった。
赤字決算などのため基本金の組み入れができなかったのは三十法人。四法人は全収入でも人件費すら賄えていなかった。
大規模な投資を行ったため赤字になったケースもあるが、多くは定員割れの大学・短大を抱えており、授業料など学生納付金の不足が財務構造の悪化につながっている。