大学新卒の選考「4年生の8月以降に」 同友会提案へ『朝日新聞』2011年1月19日付

『朝日新聞』2011年1月19日付

大学新卒の選考「4年生の8月以降に」 同友会提案へ

 経済同友会は、大学新卒者の採用選考時期を現在より4カ月程度遅らせ、大学4年生の8月以降にするよう提案する方針を固めた。大学生が就職活動に時間を取られ学業がおろそかになっているとの批判を受け、日本経団連も会社説明会を現状より約2カ月遅らせるよう会員企業に求めることを決めている。就活の早期化に歯止めをかける企業側の流れが強まってきた。

 18日にあった全国の私立大学の学長が集まる会議で、同友会幹事の小野俊彦・日新製鋼相談役が「会社説明会を3年生の3月以降、選考活動を4年生の8月以降にしたい」と表明した。21日の幹事会で具体的な開始時期を最終検討し、来週にも発表する。

 企業の採用活動を巡っては、経団連が12日、会社説明会などの広報活動を約2カ月遅らせ、3年生の12月からとする指針をまとめた。同友会はさらに3カ月程度遅らせることを提案する。経団連が従来通り4年生の4月からとした選考活動も遅らせ、学業に専念できる時間を増やす。

 経団連より踏み込んだ内容にする狙いについて、同友会幹部は「会員企業の最大公約数を追求しなければならない経団連に比べて、自由な立場で、あるべき姿を提案して議論のきっかけにしたい」と説明する。同友会は企業経営者約1300人が個人で参加する組織で、決定に企業が従う義務はない。

 学長会議に出席した明治大(東京)の納谷広美学長は「学生は負担が軽減され、大学も落ち着いて教育することができるので歓迎だ」と話した。龍谷大(京都市)の若原道昭学長は「大学教育への悪影響が薄らぐのでありがたい」としつつも「時期だけでなく、新卒一括採用以外に就職の機会を増やすことも検討してほしい」と指摘した。(増谷文生、吉田博紀)

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