[声明]2011年度予算案における私立大学等経常費補助の削減に強く抗議する2010年12月29日 日本私大教連中央執行委員会

[声明]
2011年度予算案における私立大学等経常費補助の削減に強く抗議する
2010年12月29日
日本私大教連中央執行委員会 

1.政府は2011年度予算案において、私立大学等経常費補助を対2010年度比で13億円(-0.4%)減額の3209億円計上した。今回の削減額13億円は、私大経常費補助の交付額下位46大学・短大の補助金合計額に匹敵する金額である(2008年度)。私立大学・短期大学は日本の大学において学校数で約82%、学生数で約75%を占め、教育研究の上できわめて重要な役割を担ってきたにもかかわらず、私大経常費補助は30年以上にわたり削減されてきた。直近では自公政権が2007年度から3年間で約92億円もの削減を強行した。今般の予算案は、高等教育の機会均等と充実した教育研究を求める国民の声に反し、きわめて低い水準に置かれてきた私大経常費補助をさらに削減するものであり、私たちは断固としてこれに抗議する。 

2.2011年度予算案の私大経常費補助3209 億円の内訳は、一般補助2812 億円、特別補助398 億円となっている。これについて文部科学省は説明資料において、「一般補助のウエイトは平成3年度以来20 年ぶりの高い比率」であり「昭和56 年度を超える過去最高額」と強調している。しかし、私立学校振興助成法の趣旨や同法成立時の国会附帯決議が経常費の50%補助を速やかに実現するよう要請したことに反して、補助率がわずか10%程度にすぎない現況で私大経常費補助総額のいっそうの削減をしておきながら、一般補助の比重を高めたことのみ喧伝することは欺瞞的である。 

3.国立大学法人関連予算については、運営費交付金を対前年度58億円削減する一方で「国立大学教育研究特別整備費」58億円を新設し、「国立大学法人化以降の基盤的経費の削減に歯止め」をかけたとしている。すなわち政府・文科省は、日本の大学の主要な部分を占める私立大学の基盤的経費は削減し、国立大学については削減を回避したということである。日本の大学制度において私立大学も国立大学も法令上同等の高等教育機関であり、私立・国立は同等の予算措置がなされるべきであるにもかかわらず、今般の予算案が私立・国立間格差をいっそう拡大するものとなっていることは到底容認できない。 

4.経済的に修学困難な学生を対象とした授業料減免事業への補助金についても、国立大学では減免対象者を2010年度より5千人増やし約4.2万人とする予算を計上した一方で、私立大学については4千人増の約3.3万人に留めている。学生総数(大学院生を含む)に占める割合では国立大学が12.6%から19.8%への増であるのに対し、私立大学は1.4%から1.6%への微増に過ぎない。学生1人当たりの補助額では国立大学が両年度とも約53万円であるのに対し、私立大学は約12万円から約15万円への増を見込む予算となっている。

 同じ学生・院生でありながら経済的支援についても私立・国立間に深刻な格差が生じており、2011年度予算案はこの格差をさらに拡大するものとなっている。きわめて不当である。 

5.1975年に制定された私立学校振興助成法は、私大の教育・研究条件の維持向上、学生の経済的負担の軽減等を目的としている。しかるに政府はこの30年間、私立大学の基盤整備に対する責任を放棄し、私立大学を差別的に扱い、私大経常費補助を実質的に削減し続けてきた。その結果、私立大学と私立大学生は危機的な状況に追い込まれている。

私たちは、通常国会において2011年度政府予算案を予算編成手法も含めて徹底的に審議し、私大経常費補助の削減を撤回して増額するとともに、無利子奨学金の拡大を含め私立大学生の学費負担軽減に資する予算の拡充を図るよう強く要求するものである。

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