『朝日新聞』2011年1月11日付
大学評価「偏差値より就職力」 博報堂意識調査
いい大学の条件は就職の面倒をよくみてくれること。大学を評価するポイントについて博報堂が18~69歳の約4千人に意識調査をしたところ、4割以上がそう答えた。一方、3人に1人が就職活動による学業の不足を懸念しており、深刻化する就職難を映し出す結果となった。
同社が昨年9月、首都圏と関西圏で調査した。大学を評価する際に重視する点を聞いたところ「就職支援の面倒見がよい」が最も多く41.9%、次いで「卒業生が社会で多く活躍している」が38.3%だった。
3位以下は「幅広い知識・教養が学生の身につく」が35.2%、「卒業資格をきちんと審査している」が35.1%、「社会で直接役立つ実学が身につく」が33.4%と続き、人材輩出力を重視する傾向があった。スポーツや文化での貢献は1割以下だった。
大学や学生の印象を尋ねた設問では、33%が「就職活動への意識が強く、本来の勉強が不足している」とした。このほか、「入学が難しい大学とやさしい大学の格差が大きくなっている」が39.8%、「同じ大学でも入試方法で学力に差がある」が30.2%で、大学や学生間の格差への関心が高かった。
同社教育コミュニケーション推進室は「大学や入試の仕組みが多様化しすぎて偏差値だけでは判断できなくなっているなかで、就職力が大学の教育力を評価する分かりやすい基準ととらえられているようだ」と分析している。