大学に行く実力持つ高校生、経済的理由で3%断念か『朝日新聞』2011年1月9日付

『朝日新聞』2011年1月9日付

大学に行く実力持つ高校生、経済的理由で3%断念か

 国内の主要大学に進学できる学力を持つ長崎県内の高校3年生のうち約3%が、家計の困窮を理由に進学をあきらめるかもしれない。こんな進学の実態調査結果を九州大が発表した。九州大への進学者が比較的多い長崎県で、主要高校の進路指導担当教諭にアンケートした。

 各高校で卒業後の進路について面談が行われた直後の昨年8月初旬、県内の32校に調査票を送り、27校から回答を得た。

 調査の結果、旧帝大など主要大学に進学できる学力を持つ高校3年生810人のうち、家計の困窮を主な理由に大学進学を断念するかもしれない生徒は24人(約3%)を数えた。

 その比率を地域別にみると、長崎市周辺部が1・8%、佐世保市が2・6%、離島を含むその他の地域は5・4~5・8%だった。都市部と郡部の地域差が大きかったことから、九州大は地域の実情に応じた現実的な対策作りに役立てる考えだ。

 ただ、高校からの回答の中には「家庭の事情を察知して進学希望を押し殺している生徒も少なくない」などの記述もあり、今回の数字をどのように評価すべきか、判断は難しいという。

 調査した渡辺哲司・九州大准教授は「大学の高校向け窓口で感じていたことを、定量的に確かめられた。大学として離島にも説明会に出かけるなど、対応を検討したい」と話した。

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