平成22年11月30日
我が国の成長の土台となる大学等における人づくり関係予算に対する政策コンテストの評価及び財政支援の充実について(決議)
今般、政府の予算編成課程を見える化し、国民の意見を直接反映するために行われた政策コンテストのパブリックコメントでは、人づくりに係る教育研究の「元気な日本復活特別要望枠」への要望事業に28万通以上が寄せられた。
このうち、「大学の機能強化」、「奨学金・授業料減免等の充実」、「小学校1,2年における35人学級の実現」、「若手研究人材の育成・支援事業」は、政府の全189事業の中で上位4位を占め、学生や研究者をはじめとして20万人を超える多くの国民から具体的、かつ、切実な声が届いている。このような若者の切実な声を切り捨てることなく、真摯に受け止めるべきである。
教育研究事業に必要な予算は人件費等の義務的経費が多い中で、政府共通の「組み換え基準」の方針に沿って既存予算を厳しく見直し、行政事業レビューを通じて事業の廃止等による1,226億円の恒久的な歳出削減を含めて徹底した削減をした上で要望が行われている。これらは、単なる既存予算の付け替えではなく、マニフェストや、新成長戦略に沿った雇用や成長分野を重視する施策として現場の声も聞きながら具体的検討がなされ、要望されている。
政策コンテストの作業が大詰めを迎え、現在、評価会議で作業が行われているが、民主党政権として若者世代の切実な声を聞き、将来を担う人材育成への投資を重視するメッセージを伝えるべきである。
また、評価結果を踏まえ、今後の予算の査定において「元気な日本復活特別要望枠」が認められず、要求枠も相当の配慮がなされなかった場合、教育費負担の増により家計が一層厳しくなり、進学機会を奪われる学生(無利子奨学金は39万人分、授業料減免は国立:4.8万人,私立:4.1万人分)や、特に地方においては、大学病院に医療を頼らざるを得ない状況がある中で、大学病院の機能低下による地域医療の質の低下、大学の教育研究の質の低下などの国民生活・国際競争力への大きな影響・支障が懸念される。国立大学法人運営交付金や私学助成の削減は、その教育研究の基盤が脆弱化し、日本の国力の源であった知的基盤を支える土台が根底から一層揺るがされることになる。
我が国の将来を見据えた国家戦略として、大学等が国民から期待される役割を果たし、「元気な日本の復活」に貢献するためにも、次の事項を強く要望するものである。
次の事項を決議する。
1 人づくりに係る教育研究の「特別枠」要望事業、特に国民的支持の高い次の事業について、評価会議において高い評価を行うこと
・「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ(事業番号1905)(国立大学法人運営費交付金、私学助成等)
・学習者の視点に立った総合的な学び支援及び「新しい公共」の担い手育成プログラム (事業番号1904) (奨学金の充実・授業料減免)
2 平成23年度政府予算編成において、
・我が国の成長エンジンである大学の財政支援として、「元気な日本復活要望枠」を含めた国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助など基盤的経費や、科学研究費補助金(基金化を含む)について、前年度水準以上の確保を図ること
・世界を舞台に活躍する人材を育成するため、各分野で世界トップレベルに位置づけられる教育研究の拠点づくり(リーディング大学院)や、大学の世界展開力を強化し、学生の国際交流を飛躍的に拡大する取組を支援すること
・意欲と能力があるすべての者の学ぶ機会を保障するため、授業料減免や無利子奨学金の抜本的拡充を図ること
平成22年11月30日
人づくり・モノづくり 日本の教育を支える会
会 長 細野 豪志 幹事長 岡島 一正 事務局長 城井 崇
衆議院議員 松木けんこう 橋本清仁 鹿野道彦 和嶋未希 石原洋三郎 高松和夫
高野 守 柳田和己 福田昭夫 宮崎岳志 石関貴史 三宅雪子 小宮山泰子
松崎哲久 中野 譲 石井 章 黒田 雄 奥野総一郎 中後 淳 岡本英子
橘 秀徳 本村賢太郎 勝又恒一郎 樋高 剛 石田三示 海江田万里
川島智太郎 黒岩宇洋 田中美絵子 加藤 学 佐藤夕子 石田芳弘
山尾志桜里 鈴木克昌 森本和義 小林正枝 奥村展三 萩原 仁 村上史好
樽床伸二 大谷 啓 森山浩行 辻 恵 市村浩一郎 岸本周平 渡辺義彦
松岡広隆 室井秀子 花咲宏基 高邑 勉 高橋英行 古賀敬章 楠田大蔵
打越あかし 玉城デニー 川越孝洋 中屋大介
参議院議員 米長晴信 佐藤公治 西岡武夫