学生の要約筆記、先駆的…大分大の取り組み評価『読売新聞』大分版2010年11月18日付

『読売新聞』大分版2010年11月18日付

学生の要約筆記、先駆的…大分大の取り組み評価

 国立大学法人評価委員会が実施した2009年度の全国の国立大学の運営などに関する業務実績の評価で、聴覚障害者の学生に対して別の学生がノートテイカー(要約筆記者)となって支援する大分大の事業が全国的にも先駆的な取り組みとして評価された。

 同大では、「学生がノートテイカーになっていることや、大学が養成講座を設けて支援している継続性などが評価されたのではないか」と話している。

 大分大は2005年度から、この事業を実施している。毎年4月、学生を対象にしたノートテイカー養成講座を学内に開設。ノウハウを身に着けた学生は、聴覚に障害を持つ学生が講義や実習を受ける際、学生に付き添って、教授らが話した内容の要約をノートに書いて、講義に参加する手助けをしている。

 他大学でも、外部委託の要約筆記者を用意するなど聴覚障害者に配慮した試みはあるという。評価委では、学生が学生を手助けしている点や、要約筆記をしている学生を対象にしたレベルアップ講座で、支援の充実を図っている点などが評価されたという。

 大分大で活躍しているノートテイカーは現在66人で、今年は2人の聴覚障害を持つ学生が支援を受けている。講義(90分)では毎回2人ずつ学生に付き添い、15分程度で交代しながらバインダーに挟んだルーズリーフをノートとして要約を記入している。

 支援を受けている工学部福祉環境工学科2年、山村卓巳さん(20)は、「支援があることで講義がすごく分かりやすくなっています」と語った。

 今年4月からノートテイカーとして活動している同科4年、中田亘政さん(22)は、「講義はどんどん進むので最初は要約のスピードが追いつかずに困ったが、今では自分の学科の講義をもう一度受けているようで得をした気分」。昨年4月から活動している同大大学院福祉環境工学専攻2年の松尾沙織さん(23)は、「利用者がノートを見て、講義に追いついている様子が分かるときがうれしい」と話していた。

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