既存予算付け替え許さず 特別枠も厳しい仕分け『東京新聞』2010年11月19日付

『東京新聞』2010年11月19日付

既存予算付け替え許さず 特別枠も厳しい仕分け

 十八日に全日程を終えた行政刷新会議の再仕分けは、各省庁が二〇一一年度予算の「元気な日本復活特別枠」へ要望した十二事業も仕分け対象となり、そのすべてに「予算削減」や「見直し」とする厳しい判定が下った。今回の結果は、百八十九事業に上る特別枠の要望事業を絞り込む政府の政策コンテストに大きな影響を与えそうだ。 (桐山純平、<1>面参照)

 最終日の十八日は、文部科学省が要望した特別枠の事業が対象となり、いずれも厳しい判定結果となった。国際的に通用する人材を養成する目的で、大学院を強化する事業は「明確な目標がない」と見直しの判定。政策コンテストより一足先に“落選”した。

 仕分け人の追及が特に厳しかったのは、既存予算の一部を特別枠に付け替えて事業費を増額させる手法だ。

 海外からの旅行者を増加させる「訪日旅行促進事業」で、国土交通省は通常の概算要求で六十三億円を計上。それに加え、中国からの旅行者への宣伝を強化するため、特別枠要望にも二十五億円を盛り込んだ。しかし判定は事業費を一括して通常要求するよう求める「見直し」だった。

 経済成長のための政策に重点配分する特別枠の目的から外れて予算上積みを図るやり方は、政策コンテストを行う評価会議(議長・玄葉光一郎国家戦略担当相)も問題視した。今回の仕分けを通じ、予算水増しを図る各省の手法も鮮明になり、十二月上旬までの事業絞り込みで厳しい評価を下す方針だ。

 政府は一方で、仕分けで新たな財源を捻出(ねんしゅつ)できれば、現在一兆三千億円を上限にする特別枠の歳出額を積み増す方針だ。ただ、効果的な事業に使われる確証はなく「新たな無駄を生む温床となり、仕分けを無意味にしかねない」(民間エコノミスト)との懸念も出ている。

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