富山大の次期学長に遠藤氏 事前の意向調査また覆る『朝日新聞』富山版2010年11月9日付

『朝日新聞』富山版2010年11月9日付

富山大の次期学長に遠藤氏 事前の意向調査また覆る

 富山大学の次期学長を決める学長選考会議(中島恭一議長)が8日、富山市の五福キャンパスで開かれ、会議メンバーによる投票などの結果、同大付属病院長の遠藤俊郎氏(64)が選ばれた。遠藤氏は教職員らによる事前の意向調査(投票)では2位で、2008年の前回と同じく調査結果は覆った。任期は来年4月から4年間。

 10月にあった意向調査では、同大副学長で理事の平井美朗氏(62)が448票、遠藤氏が392票、同大名誉教授の鏡森定信氏(67)が202票を得た。学内と学外のメンバーで構成する選考会議では、「調査結果を中心に十分審議する」ことによって次期学長を決めることになっていた。だが、「協議によって決定に至らず、議長から投票を提案して合意を得た」(中島議長)ため、今回は会議メンバーだった遠藤氏を除いた19人による19票と、意向調査結果を同じ19票として案分して合算し、計38票で争うことになった。

 その結果、遠藤氏が18.1票(選考会議は11票)、平井氏が16.2票(同8票)、鏡森氏が3.7票(同0票)だった。過半数の獲得者がおらず、上位2人に絞った2度目の投票をした。2度目は、遠藤氏が19.9票(同11票)、平井氏が18.1票(同8票)で、遠藤氏が過半数に達した。

 遠藤氏は会議後に記者会見し、「富山大で執行部の経験はないが、旧医科薬科大での経験も生かしていきたい」と話した。意向調査で2位だったことについては「結果は現場の意見なので心にとめていく。一つにまとまってやっていきたい」と語った。

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 2008年12月にあった前回の学長選考では、現学長の西頭徳三氏ら3人が推薦され、11月にあった2度の意向調査で、西頭氏はいずれも1位に大差をつけられ、投票総数の約2割しかとれず最下位だった。だが、その後の学長選考会議で議長を除く学外9人と学内11人の会議メンバーによる投票で、西頭氏が最多の11票を得て再選された。

 この結果に、8学部のうち経済、人文、人間発達科学、理学、医学、薬学の6学部の教授会が「大差のついた意向調査の結果を前にして最下位を選任した決定は、他の国立大学法人でも類例はない」などと、異議や選考方法の見直しを求める声明を出す異例の事態が起きた。西頭氏は再選後、ルールの見直しを掲げた。

 新メンバーによる学長選考会議は今年6月、(1)会議によって5人程度に絞り込まれた被推薦者に対し、意向調査を1回行い、得票上位3人を絞り込む(2)会議が「実績や運営方針と意向調査結果を中心に十分審議して」3人の中から1人を決定する(3)審議が不調の場合は、会議メンバー20人による投票と意向調査結果を20票として案分した結果を合算し、計40票の行方によって最終決定する――など、従来よりも意向調査の結果に比重を置く改革案を示した。(雨宮徹)

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