政策コンテスト:「特別枠」予算確保、国立大タッグ 全国で「直訴運動」展開『毎日新聞』2010年10月17日付

『毎日新聞』2010年10月17日付

政策コンテスト:「特別枠」予算確保、国立大タッグ 全国で「直訴運動」展開

 ◇協会呼びかけ

 11年度予算「特別枠」の配分を決める政府の政策コンテストに向け、国立大学協会(東京)が、加盟する全国86の国立大に対し、文部科学省の要望事業の必要性を政府に訴えるよう呼びかけている。予算配分には国民意見も参考にされるためで、各地の国立大は教職員や学生を「動員」するなど組織力を駆使した直訴運動を展開。特別枠を巡る激しい争奪戦が始まった。

 特別枠は、各省が概算要求額を削減した分を財源に充て、新成長戦略関連などに重点配分する。規模は「1兆円を相当程度超える額」としているが、各省の要望は189事業、2・9兆円に膨らんだ。大幅な絞り込みは必至で、政府は国民の意見を募集する「パブリックコメント(意見募集)」(19日まで)や各省からのヒアリングを参考に優先順位を決める。

 国立大が危機感を持つのは文科省の要望事業の行方だ。国立大学法人運営費交付金(884億円)や科学研究費補助金(350億円)が含まれ、政策コンテストで落選すれば前年度よりそれぞれ4・8%、12・5%の削減となる。国立大が収益の約4割を依存している運営費交付金は04年度以降、毎年1%程度減らされ、ただでさえ経営が逼迫(ひっぱく)している。

 国立大学協会は9月下旬、各大学に政府の意見募集で文科省予算の獲得を支援する意見提出を呼びかけた。九州大(福岡市)は今月5日、有川節夫総長名で全教職員に電子メールで、学生には教員を通じて運動に参加するよう求めた。宮崎大(宮崎市)も職員や学生が街頭で意見募集への参加を呼びかけるチラシを市民に配っている。白石薫二・宮崎大理事は「交付金の削減は授業料の値上げなどにつながり、影響は学生の家族にも及ぶことを知ってもらいたい」と話す。

 こうした動きに対し、内閣官房は「意見は参考にするが、数で判断するとは限らない」。文科省は「各大学独自の取り組み」と話している。【斎藤良太】

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