センター入試、難易度別に2種類 16年導入を検討『朝日新聞』 2010年10月25日付

『朝日新聞』 2010年10月25日付

センター入試、難易度別に2種類 16年導入を検討

 大学入試センター試験を難易度別に2種類にする検討を、独立行政法人「大学入試センター」が始める。新しい学習指導要領で学んだ高校3年生(現在の中1)が受験する2016年1月実施が目標になる。えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「全入時代」が迫り、受験生の学力の幅が広がったことなどから、1回1種類のセンター試験で学力をつかむのが難しくなったためだ。

 現段階で想定されているのは、試験科目を主に国公立大(一部の私大も含む)の志願者向けのものと、私立大向けの基礎科目型に分ける2種類の試験。大学が二つのうちどちらかを選び、志願者が受験する仕組みが考えられる。両試験とも一定量は同じ問題を出し、それぞれの得点を換算できる仕組みにするという。

 また、ペーパー試験を課さないAO・推薦入試の受験生を対象に、高校段階の学力を把握するテストを、センター試験とは別に導入するかどうかも検討するとみられる。

 センター試験は今年1月、国公私800を超える大学・短大が利用し、約52万人が受験した。試験問題は平均60点水準で作られている。だが、成績分布のグラフが上位と下位の二つの山になっている科目もあるなど受験生の学力格差が広がる兆候が表れてきた。

 背景にあるのは、少子化と大学の定員増だ。18歳人口が92年の205万人から120万人に減少。一方で、大学の定員は増え、AO・推薦入試は私大の入学定員の半分以上を占める。志願者数に対する入学者数の比率は90年の6割台から9割台に。「全入」も目の前に迫る。

 受験生の質も変化。個を重視する教育のため、普通科高校の卒業単位に占める必修科目の比率が減り、共通の科目を学ぶ受験生が減った。

 その結果、難関大学ではセンター試験での結果で差がつかなくなり入学者選びに役立ちにくい一方、学力が一定程度に達していない受験生には問題が難しいという指摘も出てきた。同一試験で全体の学力を把握するのが難しくなっていると指摘され、早めに手を打つ必要が出てきた。

 センター試験については、今春の事業仕分けや、文部科学省による09年度業務実績評価でも、入試センターが入試改善を視野に入れた取り組みの中心的役割を果たすことが必要と指摘された。同時に今後の検討についても文科省は理解を示している。

 同センターは11年度から始まる5年間の中期目標、中期計画に本格的な入試改善を進めることを盛り込む考えを固めている。入試改革を議論する理事長の私的な懇談会を11月中にも開き、議論を始める予定だ。(編集委員・山上浩二郎)

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 〈大学入試センター試験〉 例年1月に2日間の日程で実施されている。利用大学は増え続け、2011年1月は829大学・短大になる。国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の各科目から出題される。79年から国公立大が共同で利用した共通1次試験に代えて、私立大学も利用できるように90年に現在のセンター試験が始まった。参加する大学・短大が自由に教科・科目を指定できる「アラカルト方式」をとり、学部学科試験での利用方法は任されている。成績は、利用大学が志願者の試験結果をセンターに請求して、提供を受ける。

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