『毎日新聞』和歌山版2010年10月17日付
ほいでよ:大学の財政難
和歌山大を取材する機会が多いが、大学幹部から財政難を嘆く声をよく耳にする。先日も、収入の5割を占める国からの交付金の予算確保に向けた大学主催の集会に足を運んだ▲法人化以降、大学間格差が広がっているという。特に旧帝大との格差は顕著で、交付金や外部資金はけた違い。中小規模の大学では何かやろうにも予算、人員の壁にぶち当たる。関係者は「地方大学では限界がある」とさえ言う▲地方国立大の地元への貢献は大きい。格差拡大への対策を考える必要性は理解できる。ただ、集会で大学側は「苦しい、助けて」と窮状を訴えるばかりで、他の財源獲得など自助努力の過程を示すことはなかった。「私たちはこんなに頑張っているんです。だけど…」。そんな悲痛の訴えがあればもっと心に響いたのに。【岸本桂司】